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何らかの偉大な科学的な発見や発明をしようと'実験に従事している人'は、家族に貧乏を耐えさせたとしても、その努力が最後の成功で報いられるならば、後に非難されることはない。しかしながら、もしも彼が試みている発明や発見に成功しないと、世間は彼のことを'変わり者'だと言って強く非難する。(しかし)それは不公平であると思われる。なぜなら、そういう企てをする場合、誰も前もって成功を確信することはできないからである。
The man who is engaged in experiments with a view to some great scientific discovery or invention is not blamed afterwards for the poverty that he has made his family endure, provided that his efforts are crowned with ultimate success. If, however, he never succeeds in making the discovery or the invention that he was attempting, public opinion condemns him as a crank, which seems unfair, since no one in such an enterprise can be sure of success in advance.
Source: The Conquest of Happiness, 1930, Chap.11:Zest
More info.: https://russell-j.com/beginner/HA22-060.HTM
<寸言>
科学技術の成果であれば一般人でもその価値がわかる場合が多い。しかし、基礎研究の場合は、特に専門家の間で評価がわかれているような場合は、素人が評価することはほとんど不可能となる。科学者にも運のよい人と悪い人がいる。若いうちに成果をだせる研究ならよいが、生涯をかけなければならない研究の場合は、ほとんど評価されずに死んだり、自分だけでなく家族を不幸にしたりすることがある。
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