ラッセル関係電子書籍一覧 |
大きな改革が行なわれるとき,それを正当化する理論はつねに,情熱をカモフラージュするもの(情熱を偽装するためのもの)となっている。そして,民主主義理論に推進力を与えたのは,疑いもなく,'ねたみ'の情熱である。ロラン夫人は,しばしば,民衆に対する献身の念から行動した高貴な女性だとされているが,彼女の『回想録』を読んでみると,彼女をあれほど熱烈な民主主義者にしたのは,ある貴族の館を訪れた折に召使い部屋に案内された経験であったことがわかる。
When great changes occur, the theories which justify them are always a camouflage for passion. And the passion that has given driving force to democratic theories is undoubtedly the passion of envy. Read the memoirs of Madame Roland, who is frequently represented as a noble woman inspired by devotion to the people. You will find that what made her such a vehement democrat was the experience of being shown into the servants' hall when she had occasion to visit an aristocratic chateau.
Source: The Conquest of Happiness, by Bertrand Russell
More info.: https://russell-j.com/beginner/HA16-010.HTM
<寸言>
他人に対する差別はかわいそうだとか、差別はすべききではないと思いながらも、明確に意思表示をするは少ない。しかし、差別されるのが自分の場合は憤激にたえない。
ロラン夫人も子爵の妻なのでいちおう貴族であるが、差別されて初めて「覚醒(かくせい」したと思われる。
ラッセル関係電子書籍一覧
#バートランド・ラッセル / #Bertrand_Russell