バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

   たとえばティースプーンの集合は、ティースプーン(自体)ではない。しかしティースプーンでないものの集合は、ティースプーンでない集合のひとつである。・・・そこで私は、この集合がそれ自身の要素であるかないか、自問した。もしそれがそれ自身の要素であるならば、それは、その集合の定義をなしている特性、すなわち、それ自身の要素でないという特性をもたらざるを得ない。逆にもしそれがそれ自身の要素でないとするなら、それはその集合の定義をつくっている特性をもってはならないのだから、それは、それ自身の要素でなければならない。このようにして、二つの可能性のいずれをとっても、それは自身の反対に導き、従って矛盾に陥ることになる。

The class of teaspoons, for example, is not another teaspoon, but the class of things that are not teaspoons, is one of the things that are not teaspoons. ... I asked myself whether this class is a member of itself or not. If it is a member of itself, it must possess the defining property of the class, which is to be not a member of itself. If it is not a member of itself, it must not possess the defining property of the class, and therefore must be a member of itself. Thus each alternative leads to its opposite and there is a contradiction.
 Source: My Philosophical Development, chap. 6,1959
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_MPD_07-030.HTM

<寸言>
 このパラドクスの解決法としてタイプ理論(階型理論)が考案された。ラッセルは、ある命題群とそれらの命題に言及する命題をレベルの違う命題と考えたのである。即ち、集合の集合はより高次の集合と考えることによって、一応の解決を見出したのである。