バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 私は『数学の諸原理』の初稿を19世紀の最後の日、つまり1900年12月31日に書きあげた。その年の7月以降の月々は、私がそれ以前にもそれ以後にも決して経験したことのないような知的蜜月(intellectual honeymoon)であった。私は毎日、前日まで理解していなかったことを理解している自分を発見した。私は(数学の原理に関する)あらゆる困難が取り除かれ、あらゆる問題が片づいたと思った。しかし、知的蜜月は続かず、翌年(1901年)の始めには、知的な悲しみが私にたっぷり(in full measure)ふりかかってきた。

I finished this first draft of The Principles of Mathematics on the last day of the nineteenth century - i.e. December 31, 1900. The months since the previous July had been an intellectual honeymoon such as I have never experienced before or since. Every day I found myself understanding something that I had not understood on the previous day. I thought all difficulties were solved and all problems were at an end. But the honeymoon could not last, and early in the following year intellectual sorrow descended upon me in full measure.
 Source: My Philosophical Development, chap. 6,1959
 More info.: https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_06-100.HTM

<寸言>
 知的な面で天国と地獄をあいついで経験した若きラッセル。
 いつまでも解決できないとほっぽりだしたくなるが、解決しない限り先に進むことができない。解決法を発見できずにこのまま年をとっていってしますのではないかという危惧や恐れ。
 ラッセルのパラドクスの発見は多くの論理学者や数学者に深刻な影響を与えたが、ラッセルは覚悟を決めて、以後解決に取り組むことになる。