バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 若者の精神を形成する影響力のある大部分のもの(媒体)によって,金銭面での成功の理想像が若者の前に示される。映画では,若者たちは贅沢を表現したものを見る。金持ちは大理石の大広間を持っており,大広間には華麗な衣装をまとった美女が集まっている。映画の主人公は,たいてい,最後には成功した階級の仲間入りを成就する。芸術家でさえ,稼いだ金額で判断されるようになる。金銭で計れない価値は,見下されるようになる。あらゆる感受性は,競争におけるハンディキャップであるため,失敗の烙印(焼印)と見なされる。・

The ideal of financial success is set before the young by most of the influences that form their minds. In the cinema they see representations of luxury, where plutocrats own marble halls and beautiful ladies in splendid dresses. The hero generally succeeds, in the end, in belonging to this successful class. Even artists come to be judged by the amount of money they make. Merit not measured in money comes to be despised. Every kind of sensitiveness, being a handicap in the struggle, is regarded as a stigma of failure.
 Source: "The lessons of experience" (In: Mortals and Others: Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1 (1975))
 More info.: https://russell-j.com/HOPEFEAR.HTM

<寸言>
 いろいろよそ見をしていると「脱落」するのではないかという恐怖心にかられる。そのため、世間によって引かれたレールの上を「脱線」することなく、社会から期待される知識や技術や道徳観を身に着け、実際どれだけ身につけているか「いろいろなテスト」を受け、ふるいにかけられ、就職し、いずれかの組織に属して社会人として「管理」され、「一億総活躍」の先兵の一員となっていく。あとは、老後のことも考え、社会に迷惑をかけないように努力せよと言われ、それに従わずに定年退職後に苦労することになっても、社会からは「自業自得だ」という目で見られることになる。