生命(と)は,全ての創造(作用)が向かって動いてゆく最終的な頂点であろうか? 幾億年もの間,生物の住まない星(恒星)や星雲で物質の変化がなされ,そうして,不毛の宇宙で無駄なエネルギー放出がなされ,信じがたいほど贅沢な準備のみがなされてきている最終的な頂点であろうか? あるいは,それ(注:生命現象)は自然の)過程の単なる偶然かつ恐らく全く重要性のない副産物であり,その自然過程には何らかの他のもっと素晴らしい目的があるのだろうか?
Is it (= life) the final climax towards which the whole creation moves, for which the millions of millions of years of transformation of matter in uninhabited stars and nebulae, and of the waste of radiation in desert space, have been only an incredibly extravagant preparation? Or is it a mere accidental and possibly quite unimportant by-product of natural processes, which have some other and more stupendous end in view?
Source: Religion and Science, 1935, chapt. 8: Cosmic Purpose
More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_08-220.HTM
<寸言>
宇宙が誕生したのは138億年前、地球が誕生したのが約45億年前と言われている。そうして、人類が誕生したのは、長い宇宙の歴史から言えばつい最近の数百年前のこと。今、何らかの原因(たとえば、巨大な彗星が地球に衝突)で全人類が絶滅しても、宇宙の歴史においてはとるにたらないことであろうが、我々人類はもちろん、そう考えることはできない。
しかし、この最近の出来事である人類の誕生、あるいはもう少しさかのぼって生命の誕生が宇宙の歴史における最終発達形であるなんてことを言えるのだろうか?