科学者は,自分が観察したことを他人に見せたい時には,顕微鏡や望遠鏡を用意する。即ち,外界に対しては変化を加えるが,観察者に対してはただ普通の視力を要求するだけである。これに反し,神秘主義者は,断食,呼吸訓練,あるいは外界の観察から注意深く身を引くこと(注:この世で起こることは仮象/現象にすぎないので惑わされないようにとの理屈)により,観察者自身の中に変化が生れることを求める。
The man of science, when he wishes others to see what he has seen, arranges his microscope or telescope ; that is to say, he makes changes in the external world, but demands of the observer only normal eyesight. The mystic, on the other hand, demands changes in the observer, by fasting, by breathing exercises, and by a careful abstention from external observation.
Source: Religion and Science, 1935, chapt. 7:
More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_07-100.HTM
<寸言>
だから科学者と神秘主義者が議論してもほとんど成果が得られないのも無理はない。現代においては脳科学やコンピュータ科学が進んでいるので、神秘家の体験を科学的にある程度観察して分析することができるようになっているので、科学者と神秘主義者との対話もある程度は進むかも知れない。