バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 本章において,私は、あたかも最初に決定論に反対し次に自由意志に反対するという,首尾一貫性のなさに責任があるように思われるかも知れない。しかし,実際は、両者とも,科学的に確かめることができる範囲を超えた全くの形而上学的な理論である。因果律を探求することは -すでに見たように- 科学の本質であり,従って,純粋に実際的な意味において,科学者は常に,決定論を作業仮説として仮定しなければならない。

It may seem as though, in the present chapter, I had been guilty of an inconsistency in arguing first against determinism and then against free will. But in fact both are absolute metaphysical doctrines, which go beyond what is scientifically ascertainable. The search for causal laws, as we saw, is the essence of science, and therefore, in a purely practical sense, the man of science must always assume determinism as a working hypothesis.
 Source: Religion and Science, 1935, chapt. 6:
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-160.HTM

<寸言>
 ラッセルは、よく著書の最初のほうで、その本のなかで扱う範囲や扱い方を説明してりする。つまり、取り扱う範囲を越える部分については別の著書で言及したり、すでに他の本で言っていたりすることが多い。早とちりな不注意な読者はその部分に気づかず、ラッセルは「~について述べていないのは片手落ちである」といったりする人がいる。  また、先入観をもって読み、ラッセルの言っていることをあまり理解せずに批判する人もけっこういる。そういった人は自分が間違っていることに気づかせてくれる著者や著書を発見し自分が成長することに喜びを感じるという経験が少なく、小さくまとまってしまいがちな人間であろう。