さらに,「意志」という観念(概念)は非常に曖昧なものであり,おそらく科学的心理学からは姿を消すであろうものである,ということも述べておくべきであろう。我々の行為の大部分は意志(による)行為であるように感じられるものが先行しない。事前の決定がなければ単純なこともやることができないというのは,精神的な病の一形態である。・・・「意志」が関係すると思われるのは,最初の決心だけである。
It should be said, further, that the notion of "will" is very obscure, and is probably one which would disappear from a scientific psychology. Most of our actions are not preceded by anything that feels like an act of will ; it is a form of mental disease to be unable to do simple things without a previous decision. ... It is only the original decision that is felt to involve "will."
Source: Religion and Science, 1935, chapt. 6:
More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_06-150.HTM
<寸言>
最初の決心さえ、本当にその人の自由意志によるものかどうか疑わしい。自分に自由意志があることを疑わない人がほとんどだが、他人、特に凶悪な連続殺人魔に自由意志があるのだろうかと疑う人も少なくない。「全能の神」など考えることは困難であるが、もし「全能の神」が存在するとしたら、「全能の神」からみれば、人間の天才も狂人もそれほど差がなく、せいぜい程度問題と思う可能性が大きいのではないか?