バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

  どちらの人格も他方の人格について何も知らない場合においては,もし記憶が人物の定義として使われるのなら,二人の人物が存在することになる。しかし,もし肉体が人物の定義として用いられるならば,一人の人物のみが存在する(ことになる)。放心状態,催眠状態,夢遊状態を経て二重人格の極端な状態に至るまで,規則的な諸段階が存在している。このことが記憶を人物の定義として用いることにおいて困難を生じさせる。しかし,失った記憶も,催眠術によって,あるいは精神分析の過程において回復できるように思われる。こうして,この困難も克服できないものではないかも知れない。

In cases where neither knows anything of the Other, there are two persons if memory is used as the definition, but only one if the body is used. There is a regular gradation to the extreme of dual personality, through absent-mindedness, hypnosis, and sleepwalking. This makes a difficulty in using memory as the definition of personality. But it appears that lost memories can be recovered by hypnotism or in the course of psycho-analysis ; thus perhaps the difficulty is not insuperable.
 Source: Religion and Science, 1935, chapt. 5
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-240.HTM

<寸言>
 多重人格者は自分が多重人格者であることがわからない? 多重人格でない場合は自己欺瞞に陥っているのかも知れない。さもなければ、権力欲が異常に強いかあるいは性格がただ悪いだけということかも知れない。