バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 地獄信仰がより不確かなものになるにつれて,極楽信仰も同様に生き生きとしたイメージを失ったことは,興味深い事実である。天国(極楽)は今日でもキリスト教正統信仰によって公認されているものの部分(一部)であるが,現代の議論において,天国(極楽)に関しては,進化における神の目的の証拠に関してよりも,語られることはずっと少ない。宗教を擁護するための論拠(論証)は,今日では,あの世での生活との関連でよりも,この地上での善い生活を促進することにおいて宗教が与えている影響について,詳細に述べられている。

It is a curious fact that, as the belief in hell has grown less definite, belief in heaven has also lost vividness. Although heaven is still a recognized part of Christian orthodoxy, much less is said about it in modern discussions than about evidences of Divine purpose in evolution. Arguments in favour of religion now dwell more upon its influence in promoting a good life here on earth than on its connection with the life hereafter. 
 Source: Religion and Science, 1935, chapt. 5:
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-200.HTM

<寸言>
 特定の宗教を信じる理由は科学的根拠や論理的な真理から出てくるものではないので、宗教を勧誘する者はどうしても「信じなさい、信じる者は救われる」という戦略をとることになりやすい。ある宗教を信じ、別の宗教を信じないことが正しいとしたら、それらの宗教同士で徹底的に議論して白黒つけてもらうのがよいが、もちろん、戦略上、彼ら宗教を勧誘する者はそんなことはしない。そんなことをしたら議論にまけたり、自分たちの信仰のいいかげんさがわかってしまうかもしれない。

   

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