バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 ごく最近まで,物質は不滅であると考えられていたが,これは物理学の手法(technique 一連の処理方式)によってもはや想定されていない。原子は,今日では,一定の出来事をまとめる(グルーピングする)ための便宜的な方法(の一つ)にすぎない。(また)原子を電子を伴った核(原子核と電子で成り立っているもの)と考えることはある程度までは便利であるが,ある時刻(瞬間)における電子は別の時刻(瞬間)における電子と同一のものと見なすことはできず,また,いかなる場合においても,現代の物理学者でそれらを「実在(している)」と考えている者はいない。不変である(永遠である)と考えられた物的実体が存在していた時には(間は),精神(心)も同様に不変である(永遠である)に違いないと論ずることは容易だった。だが,この論拠(理由)は(過去においても)決してごく強力なものというものではなかったが,今日ではもはや通用しない。

Until recently, it was thought that matter is immortal, but this is no longer assumed by the technique of physics. An atom is now merely a convenient way of grouping certain occurrences ; it is convenient, up to a point, to think of the atom as a nucleus with attendant electrons, but the electrons at one time cannot be identified with those at another, and in any case no modern physicist thinks of them as "real." While there was still material substance which was supposed to be eternal, it was easy to argue that minds must be equally eternal ; but this argument, which was never a very strong one, can now no longer be used.
 Source: Religion and Science, 1935, chapt. 5:
 More info.: https://russell-j.com/beginner/RS1935_05-220.HTM

<寸言>
 人間も動物も原子からできているので、死んで原子の状態に分解しても、またある一定のやり方で原子を再構成すればもとの人間に「復活」させることができるとかんがられた。しかし、E=mc2(自乗)ということで、物質はなくなってエネルギーになってしまうことがわかると・・・。