バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.187に引用されているラッセルの言葉です。(n.38)

私は,オットリン・モレル夫人(1873~1938)によって始められ,第一次世界大戦によって継続された,若返り(回春)の過程を経験した。戦争が人を若返らせるとは奇妙に思われるかもしれないが,事実,第一次世界大戦は,私の偏見を振り落とし,多くの根本的な問題についてあらためて考え直させてくれた。第一次大戦は,また,私に新しい種類の活動も与えてくれた。この新しい活動に対しては,数理論理学(数理哲学)の世界に戻ろうとするときに何時も私につきまとった,あの新鮮みのなさ(味気なさ)を感じなかった。

I underwent a process of rejuvenation, inaugurated by Ottoline Morrell and continued by the War. It may seem curious that the War should rejuvenate anybody, but in fact it shook me out of my prejudices and made me think afresh on a number of fundamental questions. It also provided me with a new kind of activity, for which I did not feel the staleness that beset me whenever I tried to return to mathematical logic.
 Source: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2(1968)p.15
 More info.: https://russell-j.com/beginner/AB21-010.HTM

<寸言>
 ラッセルは祖父が総理大臣を2度務めた、政治に関係がある貴族の家系に生まれた。両親はラッセルが幼い時になくなり、3歳から18歳(にケンブリッジ大学にあがる)まで、祖父母の屋敷で生活をした。祖父は引退してすぐに亡くなったが、その後は厳格な祖母に育てられた。自分が正しいと思ったら周囲の全員が反対しても正しいことを主張すべきとの祖母の躾(家庭教育)を受けており、第一次世界大戦の勃発にあたっては、迷うことなく反戦運動に全精力を費やした。
 ちなみに、その屋敷に住むラッセル家のなかでラッセルは唯一の男子として、幼いラッセルはビクトリア女王やグラッドストーン首相とも対面した。