バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

『バートランド・ラッセル−反核の論理学者』(学芸みらい社刊)p.91で引用されているラッセルの言葉です。(n.20)

 クロード・イーザリーは,広島に爆弾を投下するための信号を送った。・・・彼は,その爆弾がどのような効果をもたらすか告げられていなかった。そうして,彼の行為の結果がわかった時,彼は全く恐れおののいた。彼は,核兵器の残酷さに注意を喚起するために,また,もし彼がそうしなかったら,彼を押しつぶしてしまうであろう罪を償うために,長年に渡り,多様な市民的不服従運動に献身した。米当局(政府・国防省その他)は,彼は気が狂った者として考えられるべきだと決定し,また,著しく政府(権力)に従順な精神病学者たちのグループが,その公式見解を裏書した(支持した)。イーザリーは,後悔したために,精神に異常があると証明された。(これに対し),トルーマン(大統領)は後悔しなかったので,精神に異常があるとは証明されなかった。

Claude Eatherly gave the signal for the dropping of the bomb at Hiroshima. ... He was not told what the bomb would do and was utterly horrified when he discovered the consequences of his act. He devoted himself throughout many years to various kinds of civil disobedience with a view to calling attention to the atrocity of nuclear weapons and to expiating the sense of guilt which, if he did not act, would weigh him down. The Authorities decided that he was to be considered mad, and a board of remarkably conformist psychiatrists endorsed that official view. Eatherly was repentant and certified; Truman was unrepentant and uncertified.
 Source: Has Man a Future? (1961),chap.4.
 More info.: https://russell-j.com/wp/?p=2174

<寸言>
 国家を支配する権力は強大である。一般人が言ったことであれば無視されたり、名誉毀損で訴えられたりすることも、大統領や首相になれば無視できず、反論を押さえつけることもできる。
 トランプ大統領が Twitter で自分の言いたいことを言い、企業や国家を自分の思う方向に誘導しようとすれば、通常は訴えられてしかるべきである。つまり法の下の平等があるはずであるが、実際はそうはなっていない。確かに訴えることはできるが、大統領を訴えて勝訴するためには、非常にたくさんの支援者と莫大な訴訟関連費用が必要となる。普通の人間にそんなことはできない。
 そのことは、かなり影響力の程度は下がるとしても日本の首相に対してもも当てはまる。
   

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