『バートランド・ラッセル-反核の論理学者』p.20で引用されているラッセルの言葉です。
「大抵の人は、戦争(第一次世界大戦)に反対したことでまだ私を憎んでいたし、この理由から私を憎まない少数の人は、ボルシェビキを褒めないということで私を非難した。」
Most people still hated me for having opposed the war, and the minority, who did not hate me on this ground, denounced me for not praising the Bolsheviks.
Source: Portaits from Memory and Other Essyas, chapt. 1, p.13
これに続いて、p.14で次のように書かれています。
「ボルシェビキについて考えていることを言おうと最終的に決めたとき、以前の政治上の友人たちは、私をブルジョアジーの従僕と罵った。しかし、反動派の人たちは私の言ったことに気づかず、私のことを「臆病なボルシェビキの豚」と書き続けた。こうして私は両方の世界からひどい目にあう羽目になった。(op. cit., p.14)
When I finally decided to say what I thought of the Bolsheviks my former political frirends, including very many who have since come to my opinion, denounced me as a lackey of the bourgeoisie. But reactionaries did not notice what I said and continued to describe me in print asa "lily-livered Bolshie swine". And so I succeeded in getting the worst of both worlds.
Source: Portaits from Memory and Other Essyas, chapt. 1, p.14
<寸言>
いったん戦争が始まってしまえば、戦争に反対する者は「非国民」となる。ラッセルも約5ケ月間、ロンドンのブリクストン刑務所に入れられてしまう。
戦場に派遣された(もともとは一般市民の)兵隊さんたちも、多くの敵国人を殺害すれば英雄となり、敵前逃亡すれば重罪(死刑になる場合も多い)となってしまう。即ち、「愛国無罪」であり、重大な戦争犯罪も見て見ぬふりをする(なかったことにする)。そうして軍人用の国立の墓地(日本の場合は靖国)に葬られ、「英霊」とされる。どんなに戦場でひどいことをしても、「英霊」扱いにしないと、次の戦争で戦ってもらえない。だから戦争を始める権力者も、戦争を指導する者も、国を愛するための嘘は「方便」ということになる。