バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 1885年になってさえも(そんなに時代が進んでも)モントリオールで天然痘が発生した時には,住民の内カトリック教徒たちは,牧師たちの支持の下に,予防接種に反対した。ある司祭(priest 神父)は次のように述べている。「もし,我々が天然痘にかかるとしたら,それは昨冬謝肉祭(注:カトリック教で行われる祭りで,四旬節(=復活祭前の四十日間)に肉を断つので、その直前三日ないし一週間をにぎやかに祝うもの)をやり,その時にごちそうを食べ肉体を喜ばせて主(神)を怒らせたからだ」。・・・全聖職団の裁可(the sanction of the hierarchy)のもと,聖母マリアへの厳粛な祈願をこめた聖歌大行列を行なうことが命ぜられ,ロザリオ(注:聖母マリアへの祈り「アヴェ・マリア」を繰り返し唱える際に用いる数珠状の祈りの用具)の使用も明細に指示された。」〈原注:ホワイト「前掲書」第2巻 p.60参照)

So late as 1885, when there was a severe outbreak of smallpox in Montreal, the Catholic part of the population resisted vaccination, with the support of their clergy. One priest stated : "If we are afflicted with smallpox, it is because we had a carnival last winter, feasting the flesh, which has offended the Lord." ... ; under the sanction of the hierarchy a great procession was ordered with a solemn appeal to the Virgin, and the use of the rosary was carefully specified.”(note: White, op. cit., Vol. II, p. 60. )
 情報源: Religion and Science, 1935, chapt. 4
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/RS1935_04-180.HTM

 <寸言>
 宗教は文明に対し、その進歩に貢献した部分と阻害した部分とどちらが多いであろうか? 世の中には宗教が人間や人間社会に与えた否定的な側面についてあまり知識をもたず、宗教の有用性を説くものが少なくないが、ラッセルは宗教の否定的側面に関する史実を非常にたくさん知っており、それを踏まえれば否定的な側面のほうが多く、現代においては宗教の必要性はほとんどなくなっていると主張する。