スイス人ドエルフェル(Doerfel)は1682年の慧星の軌道は,放物線(a parabola)に近かったことを示し,ハレーは1682年の彗星(1682以後彼にちなんでハレー彗星と命名された)は -1066年の時及びコンスタンチノープルの陥落の際にも人々に恐怖をひこ起こしたもの- は約76年の周期の,非常に細長い楕円軌道を持つことを示した。そして,1687年に出されたニュートンの『プリンキピア』は,万有引力の法則は惑星の運動と同様に彗星の運動も充分説明する(説明できる)ことを示した。(そのため)前兆が存在することを望む神学者たちは一歩退いて,地震と火山の噴火に(前兆の)拠り所を求めるしかなかった。
A Swiss named Doerfel showed that the orbit of the comet of 1680 was approximately a parabola ; Halley showed that the comet of 1682 (since called after him), which had roused terror in 1066 and at the fall of Constantinople, had an orbit which was a very elongated ellipse, with a period of about seventy-six years ; and Newton's Principia, in 1687, showed that the law of gravitation accounted as satisfactorily for the motions of comets as for those of planets. Theologians who wanted portents were compelled to fall back upon earthquakes and eruptions.
情報源: Religion and Science, 1935, chapt. 1
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/RS1935_02-200.HTM
<寸言>
神の所業や奇跡や神罰を信じたい人たち、特に職業宗教家は,科学的に説明できないところに自分たちの「存在理由」を探そうとする。証明できなければ「それは神の思し召しだ」と強く主張し、信者を引き止めておくことができ、収入もある程度はいってくる。