バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 ガリレオ・ガリレイ(1564-1642)は,彼の発見(発見した事柄)及び異端審問所との闘いの両面において,当時の最も注目に値する科学者であった。彼の父親は貧乏な数学者であり,自分の息子を(数学よりも)もっと金儲けになると思われることに向かわせようと全力を尽した。父親は,ガリレオが数学というような科目があるということを知ることさえ防ぐことに成功していたが、ついに19歳の時,ガリレオは,たまたま,幾何学の講義を,立ち聞き者の一人として(as an eavesdropper),偶然耳にした。彼は幾何学に熱中した(He seized with avidity upon the subject. 幾何学を貪欲に捕まえた)。幾何学は彼にとって禁断の木の実の全ての魅力を持っていた。不幸なことに,この出来事の教訓は学校の教師たちにおいては見失われてしまっている。(注:隠せば隠すほど見てみたくなるという人間性)

Galileo Galilei (1564-1642) was the most notable scientific figure of his time, both on account of his discoveries and through his conflict with the Inquisition. His father was an impoverished mathematician, and did his utmost to turn the boy towards what he hoped would prove more lucrative studies. He successfully prevented Galileo from even knowing that there was such a subject as mathematics until, at the age of nineteen, he happened, as an eavesdropper, to overhear a lecture on geometry. He seized with avidity upon the subject, which had for him all the charm of forbidden fruit. Unfortunately the moral of this incident has been lost upon schoolmasters.
 情報源: Religion and Science, 1935, chapt. 1
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/RS1935_02-090.HTM

 <寸言>
 幼い子供は、親や周囲に押さえつけられなければ、いろいろなことに好奇心を持つ。しかし、子供の質問に不適切に答えたり、めんどくさがったりしたり、試験などを課して負荷をかけると、しだいに好奇心を失っていく。数学だって同じこと。数学を嫌う人が少なくないが、試験というものや、選別のための評価や順番付けなどしなければ、その子にあった段階的な教育をすれば、ほとんどの子供が数学に興味をもつことであろう。