バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 独裁制が存在しているところでは、若者はまだ自分で考えられるようになる前に、ひとそろいの信念が精神に注入され、また、これらの信念は生徒たちが後に(成人した後に)早期の訓戒(授業)の催眠効果から決して逃れることができないであろうことが期待されるように(期待できるように),絶えず執拗に教えられるのである。こうした信念は、その信念が真実だと想えるような理由を与えることによってではなく、オウムのような繰返しや集団ヒステリーや集団的な暗示によって注入されるのである。こういうやり方で、二つの相反する信条が教え込まれ続けると、それらの信条は、議論を行う二つの政党ではなく、衝突する二つの軍隊を生み出す。

Wherever there is autocracy, a set of beliefs is instilled into the minds of the young before they are capable of thinking, and these beliefs are taught so constantly and so persistently that it is hoped the pupils will never afterwards be able to escape from the hypnotic effect of their early lessons. The beliefs are instilled, not by giving any reason for supposing them true, but by parrot-like repetition, by mass hysteria and mass suggestion. When two opposite creeds have been taught in this fashion, they produce two amies which clash, not two parties that can discuss.
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER18_320.HTM

 <寸言>
 体制側の人間というのは、もちろん、人間には浮き沈みがあるので、常に部分的に入れ替わる。しかし、体制側に現在いる場合は、自分たちに便益を与えてくれる既存の体制を維持しようとする。また、それを長期的に可能にするように、体制維持に資する道徳教育、愛国心教育、国家主義的な教育を支持する。  それを本能的に感じる人間は、自分も体制側に加えてもらおうと、体制側の人間に媚を売ったり、忖度したりする。  そういった人間も自分の肉親が重い病にかかったり、重大な犯罪を犯したりすれば、「改心」することもある。しかし、そういったことがなければ死ぬまで、国家主義的な思想をいだき続け、政治家であれば、多くの国民が自分たちに奉仕するような方策をとったり、政治家でない場合には、政治家にそういった政策をとらせたりする。