次に,ニーチェの英雄崇拝をとりあげてみると、(ニーチェによれば)出来損ないで無能な連中("the bungled and botched"」は英雄の(ために)犠牲になるべきである。ニーチェを称賛する読者は、もちろん,自分は英雄(の一人)だと確信し、一方(これに対し),あくどい陰謀によって自分(英雄である私)を出し抜いたならず者の誰それは、出来損ないで無能な連中の一人である。その結果,ニーチェの哲学は優れている,ということになる。
Take, next, Nietzsche's cult of the hero, to whom the "bungled and botched" are to be sacrificed. The admiring reader is, of cource, convinced that he himself is a hero, whereas that rascal so-and-so, who has got ahead of him by unscrupulous intrigues, is one of the bungled and botched. It follows that Nietzsche,s philosophy is excellent.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER16_110.HTM
<寸言>
日本にはニーチェの愛読者が多い。そういった人たちの特徴は、ラッセルが指摘しているように・・・。