個人主義は,論理的にも歴史的にもプロテスタンティズム(清教徒主義)と関係をもっていることは明らかであり,プロテスタンティズムは,権力を握るとしばしば自らの教義を放棄したが,神学的領域においてはそれらの教義を主張した。・・・カトリック教会においては,教会が権力を握った期間が長かったために,初期キリスト教の個人主義をいくらか曖昧なものにしてしまった。しかし,プロテスタント(新教徒)は,特にその極端なほうの形態では,この個人主議を復活させ,これを政治理論(統治理論)に適用した。
Individualism has obvious logical and historical relations to Protestantism, which asserted its doctrines in the theological sphere, although it often abandoned them when it acquired power. ... In the Catholic Church, a long career of power had somewhat obscured the individualism of early Christianity; but Protestantism, especially in its more extreme forms, revived it, and applied it to the theory of government.
情報源: Power, 1938.
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER07_170.HTM
<寸言>
個人主義は、教会を介さずに神と向き合うというプロテスタンティズムに由来する。日本では神といっても一神教の神ではなく、アニムズムに由来する八百万の神であるので、絶対神に向き合うということはなかった。そうして、個人主義ではなく、和を尊ぶ集団主義が発達した。