良心と呼ばれるもの,即ち,子供の頃に学んだ道徳的な教えを,理性を働かせることなく,多かれ少なかれ無意識的に受け入れたもの(教え)のために,人びとはいまだ,慣習が禁じたものはなんでも悪いことであると感じている。そして,知的にはそうではないと確信しているにもかかわらず,この感情は存続することがある(可能性がある)。このようにして,この感情は,分裂した人格を生み出す。本能と理性はもはやともに手を取り合って歩むことはなく,本能はつまらないものになり,理性は貧血症(anaemic = anamic 貧血症の;無気力な)を起こす。
What is called conscience, that is to say, the unreasoning and more or less unconscious acceptance of precepts learnt in early youth, causes men still to feel that whatever the conventions prohibit is wrong, and this feeling may persist in spite of intellectual convictions to the contrary. It thus produces a personality divided against itself, one in which instinct and reason no longer go hand in hand, but instinct has become trivial and reason has become anaemic.
情報源: Marriage and Morals, 1929.
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM21-090.HTM
<寸言>
「子供のような素直な心」を持っているといっても、褒め言葉になる場合と嘲笑の言葉になる場合がある。問題なのは後者。褒められると前者しか考えない、「反省」という言葉を知らない大人になってはならない。