バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 自制の効用は,列車のブレーキの効用に似ている。誤った方向に進んでいることに気づいたときには役に立つが,方向が正しいときには害になるばかりである。列車は常にブレーキをかけたまま走るべきだ,とは誰も主張しないだろうが,それでも,困難な自制をする習慣は,有用な活動に利用すべきエネルギーに対して,非常によく似た有害な影響を及ぼす(のである)。自制が原因となって,こうしたエネルギーの大部分が,外的な活動ではなく,内的な摩擦(心的葛藤など)に浪費されることになる。

The use of self-control is like the use of brakes on a train. It is useful when you find yourself going in the wrong direction, but merely harmful when the direction is right. No one would maintain that a train ought always to be run with the brakes on, yet the habit of difficult self-control has a very similar injurious effect upon the energies available for useful activity. Self-control causes these energies to be largely wasted on internal friction instead of external activity .
 情報源: Marriage and Morals, 1929.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/MM21-070.HTM

 <寸言>
 日本の初等教育においては、社会性を養うという名目で周囲の状況に合わせて「自分をコントロールすること」即ち「自制心を養う」教育がかなり早くから行われている。米国においては、事実認識をしっかりした上で「あなたの意見は」とよく聞かれ、「自主独立した人間」になるための教育が早くから行われる。両者とも長所と短所があるが、日本の「社会性を身に着けさせるために自制心を養う教育や躾」は少し過剰であると思われる。