けれども,性道徳にやってきつつある変化の第二の要因は,もっと広範な影響を及ぼしそうである。これは(それは),国家が子供の扶養と教育にますます関与してくることである。この要因は,これまでのところ,主として賃金労働者階級に影響しているが,結局のところ,彼らは人口の大部分を占めており(占めているので),彼らに関係するところで徐々に起こっている国家による父親の肩代わりは,最終的には,全人口(全国民)に及ぶだろうことは,きわめてありうることである。
A second factor, however, in the change which is coming over sexual morals, is liable to have more far-reaching effects. This is the increasing participation of the State in the maintenance and education of children. This factor, so far, affects mainly the wage-earning classes, but they, after all, are a majority of the population, and it is quite likely that the substitution of the State for the father, which is gradually taking place where they are concerned, will ultimately extend to the whole population.
情報源: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM21-030.HTM
<寸言>
歴史に必然はないにしても、生命尊重、福祉の充実、いろいろな面での格差解消の声の高まりとともに、国家による父親の機能の代替は大幅に進行していくと予想される。
格差の是正は是非やらなければならないことであるが、政府はそのことを悪用する恐れがあり、実際、安倍政権はそれを「活用」している。