家族は生物学的起源をもっているけれども,文明社会においては法律の制定による所産である。結婚は,法律で規制されており,親の子供に対する権利(親権)も細かく定められている。結婚がおこなわれない場合は,父親には(子供に対して)なんの権利もなく,子供はもっばら母親のものになる。しかし法律は家族を擁護する意図を有しているけれども,現代においてはますます親と子供の間に介入してきており,立法者の希望と意図に反して次第に家族制度を崩壊させる主要なエンジン(動力源)の一つになりつつある。
The family, though it has a biological origin, is in civilized communities a product of legal enactment. Marriage is regulated by law, and the rights of parents over their children are minutely determined. Where there is no marriage, the father has no rights, and the child belongs exclusively to the mother. But although the law means to uphold the family, it has in modern times increasingly intervened between parents and children, and is gradually becoming, against the wish and intention of law-makers, one of the chief engines for the break-up of the family system.
情報源: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM15-010.HTM
<寸言>
父親はいなくてもますます子供は社会(や国家)が育てていくことになる。父親がいても子供を虐待するなどする場合には親から切り離されて施設で育てることになる。
また親がいても、親と過ごす時間よりも、公的な場所で教育されたり訓練されたりすることがますます増えていき。
人間の(社会的/国家的)管理は今後ますます拡大していき・・・。