バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 さらに,ロマンチックな恋愛は結婚に不可欠であるとする物の見方は,あまりにも無政府的であり,正反対の意味ではあるが,聖パウロの見解と同様,結婚を重要なものにしているのは子供であるという事実を忘れている(見落としている)。子供がいなければ(子どもが生まれることがなければ),性に関する制度はいっさい不要になるだろう。しかし,子供がからんでくるやいなや,夫と妻は,いやしくも責任感があり,子供に対する愛情が少しでもあるのであれば,夫婦相互の感情はもはや一番重要なものではない,ということを悟らざるをえないのである。

Moreover, the view that romantic love is essential to marriage is too anarchic, and, like St. Paul's view, though in an opposite sense, it forgets that children are what makes marriage important. But for children, there would be no need of any institution concerned with sex, but as soon as children enter in, the husband and wife, if they have any sense of responsibility or any affection for their offspring, are compelled to realize that their feelings towards each other are no longer what is of most importance.
 出典: Bertrand Russell :Marriage and Morals, 1929
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/MM06-120.HTM

 <寸言>
 結婚はあくまでも(法律に規定された))一つの社会制度であり、(離婚によって経済的な不利益などを受けない)理想社会においては、子供がいない場合は、社会はそのカップルを規制する必要がない。子供ができるから弱者である子どもを守ったり、育児中の女性を保護する法律が必要がある。完全な男女平等が行き渡った社会においては、子どもがいない場合は自由恋愛が原則であり、どちらも法律でしばる必要はないはずである。もちろん、今はそういった社会にはなっていないので、法律で弱者保護の規定をいろいろしておく必要がある。