バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 我々は,物理学の物理的世界と,日常経験の物理的世界とを区別しなければならない。物理学を正しいものとすれば,物理学の物理的世界は,私の精神生活とは独立に(無関係に)存在している(注:私や人類が存在しなくても,やはり存在する,ということ)。形而上学的見地からすれば,その世界は堅固でありかつ自存するものであり,常にそのような世界が存在することを仮定している。これに反し,私の日常経験の物理的世界は,私の精神生活の一部である。物理学の物理的世界とは違ってそれは堅固なものではなく,私が夢で見る世界同様に実体的(実質的)なものではない。

We must distinguish between the physical world of physics, and the physical world of our everyday experience. The physical world of physics, supposing physics to be correct, exists independently of my mental life. From a metaphysical point of view, it is solid and self-subsistent, always assuming that there is such a world. Per contra, the physical world of my everyday experience is a part of my mental life. Unlike the physical world of physics, it is not solid, and is no more substantial than the world that I see in dreams.
 出典: Bertrand Russell : Mind and Matter (1950?)
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/19501110_Mind-Matter070.HTM

 <寸言>
  私たちは、現代物理学(量子力学と相対性理論)を信じるとともに、自分の心の存在も「信じて」おり、両者が本当に両立するのかどうか論理的整合性を疑うことを余りしない。 果たして両者は同時に肯定できるであろうか? 厳密に考え始めると、大変難しい問題がそこには潜んでいることがわかる。