オットリンは非常に大きな影響を私に与えたが,ほとんどの場合,有益なものであった。私がケンブリッジ大学の教師や学者のように振舞ったり,独断的な話し方をすると,彼女は(声をだして)笑った。鉄のような自制(心)によってのみ抑制可能な,恐るべき邪悪さで自分は煮えくりかえっていると私は信じていたが,彼女はそれを徐々に治してくれた。彼女は,私の自己中心的なところや,独善的なところを少なくしてくれた。
Ottoline had a great influence upon me, which was almost wholly beneficial. She laughed at me when I behaved like a don or a prig, and when I was dictatorial in conversation. She gradually cured me of the belief that I was seething with appalling wickedness which could only be kept under by an iron self-control. She made me less self-centred, and less self-righteous
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.1, chap. 7: Cambridge Again, 1967
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB17-050.HTM
<寸言>
ラッセルは,若い時に5歳年上のアリスと結婚したが,しだいに気持ちが離れていき,結局,結婚生活は失敗に終わり,長い別居期間を経て、離婚に至った。(二人の間に子供がいれば、また違った展開になったであろう。ラッセルは早く両親が病没したことによる孤独感から,子供を持つことを熱望していたが、アリスは子供が産めない身体であり、ラッセルの強い希望も立たれた。)
そのような時にラッセルの孤独感を救ったのは、オットリン・モレル夫人(1873-1938,ラッセルの1歳年下)であった。オットリン(注:ポートランド公爵の義理の妹)のことをラッセルは幼児の頃から知っていたが、ラッセルがオットリンに急速に接近したのは、オットリンの夫が自由党から立候補したの を応援したのがきっかけであった。そうして、二人は恋人同士になった。