全ての不幸は,ある種の分裂あるいは統合の欠如にその原因がある。意識的な精神と無意識的な精神とをうまく調整できないと,自我の中に分裂が生じる。自我と社会とが客観的な関心や愛情によって結合されていないと,両者間に統合の欠如が生じる。幸福な人とは,これらの統一のいずれにおいてもうまくいかないということで苦しんでおらず,自分の人格が内部で分裂していなくて,世界と対立してもいない人のことである。
All unhappiness depends upon some kind of disintegration or lack of integration; there is disintegration within the self through lack of coordination between the conscious and the unconscious mind; there is lack of integration between the self and society where the two are not knit together by the force of objective interests and affections. The happy man is the man who does not suffer from either of these failures of unity, whose personality is neither divided against itself nor pitted against the world.
出典: The Conquest of Happiness, 1930, chap. 17:The happy man
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/HA28-030.HTM
<寸言>
嘘をつくことによって(あるいは、言いたいことを我慢することによって)地位を維持している者は、自己の意識(と無意識)の分裂に苦しむことになる。「言い難きをこらえ、耐え難きを耐えている」と意識的な自分は思っていても、実際は、今の地位や利益を守りたいためにそうしているという面が強いことに気づいていない。いや、気づいているのもか知れないが・・・?