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バートランド・ラッセルのポータルサイト

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 (週刊)バートランド・ラッセル(1872.5.18-1970.2.2)に関するメール・マガジン
  no.0636_2019/05/25 (2006/12/21 創刊/毎週土曜 or 日曜日 発行)

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     ■ 目 次 ■
          
(1)ラッセルの著書及び発言等からの引用
(2)ラッセルに関する記述や発言等
 編集後記


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(1) ラッセルの著書や発言等から
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■「(ほぼ日刊)ラッセルの言葉366」
      n.1626〜n.1630 を発行しました。

 ・月曜日〜木曜日は『私の哲学の発展』 を
 ・金曜日は 『アメリカン・エッセイ集』+α をお届けしています。
 ===============================

 以下,『私の哲学の発展』から1つ、『アメリカン・エッセイ集』から
1つ再録します。

 (1)  n.1629 (2019年5月23日 木曜日)
   『私の哲学の発展』第3章「最初の努力」n.9
       https://russell-j.com/beginner/BR_MPD_03-090.HTM


(ラッセルの15〜16歳の時の鍵付き日記帳から)
<1888年4月29日>

 私は,あらゆることにおいて − 一部は自分の祖先から(遺伝で)受け継ぎ,
また自然陶汰によって徐々に獲得した本能ではなく,部分的に教育のおかげで
あるところの− 理性に従うという決意を(これまで)立ててきた。(みすず書
房版の野田訳では「一部は祖先から遺伝されかつ淘汰によって漸次獲得された
ものであり、一部は教育に由来するところの、本能なるものをしりぞけて、も
っぱら理性に従おうという誓いを立てた」と訳出されている。「一部は教育に
由来するところの、本能なるもの」と訳しておかしいと思わなかったのだろう
か?) 正,不正の問題において,(こういった)本能に従うことは何と,不合理
なこと(馬鹿げたことであろうか? というのは,前によく見たように(観察
したように),遺伝によって受け継いだ部分は、種の保存あるいは私が所属する
種(注:人類)の特定の属(注:section (ヒト属)の保存、導く原理にすぎ
ないからである。教育に起因する(due to)部分は、個々の教育(の内容)に
よって良くなったり悪くなったりする。それにもかかわらず(Yet)、この内
なる声 −あの「ブラッディー・メアリー」(注:Bloody Mary :イングランド
とアイルランドの女王,在位1553年7月19日-1558年11月17日。プロテスタント
に対する過酷な迫害からブラッディ・メアリー(血まみれのメアリー)と呼ば
れた)をして新教徒を焼き殺させたところの神から授かった良心− この良心
に我々は従うべきとされるのである(従うべきとされるのである)。こういっ
た考えは狂気の沙汰だと私は考える。そうして,私は,理性に従って行けると
ころまで行こうと努力する。私が自分の理想として掲げるものは、最大多数の
最大幸福を究極において生み出すものである。そうして,私は,この理想に最
も助けになる道(コース)を発見するために理性を用いることができる。また
,そうであるけれども(however)、私という個人の場合には受けた教育が立派
なものであったので、(理性だけでなく)多少とも,良心に従って進むことも
できる。しかし,人々が、理性に従うために,動物的な(野蛮な)衝動を捨て
ることを嫌がり・・・(=本書では引用がここで切られている)。

Chapter : First Efforts, n.9
(From Russell's Diaries]

Eighteen eighty-eight. Apr. 29th

In all things I have made the vow to follow reason, not the instincts
 inherited partly from my ancestors and gained gradually by selection
and partly due to my education. How absurd it would be to follow these
 in the questions of right and wrong. For as I observed before, the 
inherited part can only be principles leading to the preservation of 
the species, or of that particular section of the species to which 
I belong. The part due to education is good or bad according to the 
individual education. Yet this inner voice, this God-given conscience
 which made Bloody Mary burn the Protestants, this is what we 
reasonable beings are to follow. I think this idea mad, and I 
endeavour to go by reason as far as possible. What I take as my ideal
 is that which ultimately produces greatest happiness of greatest
 number. Then I can apply reason to find out the course most conducive
 to this, and in my individual case however I can also go more or less
 by conscience owing to the excellence of my education. But it is 
curious how people dislike the abandonment of brutish impulse for 
reason. . . .
 Source: My Philosophical Development, chap. 2,1959.
 More info.:https://russell-.com/beginner/BR_MPD_03-090.HTM

 (2)  n.1630 (2019年5月24日 金曜日)
  「経験の教え」(『アメリカン・エッセイ集』から)
   なお、全文を読みたい方は、次のページを見てください。
    https://russell-j.com/EXPERIEN.HTM


 若者は'想像(空想)'と'推論'によって影響され(に左右され),老人は経験に
導かれる(経験に頼って生きる),とよく言われる。私自身,若い頃,この顕著
な実例を経験した。・・・。

・・・政治的にも,道徳的にも,世界中の政治は30年間どころか50年間も60年間
も70年間も,世の中を「子供のころ」から知りぬいている老人の手にほとんど
にぎられていると言ってよい。これらの老政治家は皆,物事を経験する前に彼
らが既に思いこんでいたことを信ずる(再確認する)ことを経験から学んでき
た。というのは,大部分の人たちは,自分の偏見(予断)再確認するだけで,経
験からは何も学ばないからである。経験から何ものかを学ぶためには,科学者
気質の本質とも言える一種の偏見のない広い心(開かれた心)が必要である。
(ただし,科学者の多くも,この偏見のない広い心がいくらか欠けているけれど
も)。科学は,−経験を基礎にしているが−,経験を予知することを可能とし,
「子供の頃から」(式)の経験よりもより多くの物事を知ることを可能とする。
・・・。

It is a commonplace that the young are influenced by imagination and
 reasoning while the old are guided by experience. When I myself was
 young I had once a remarkable illustration of this fact. ...

 The government of the world, moral as well as political, is almost
 wholly in the hands of the old, who have known the world, 'man and
 boy', not merely for thirty years, but for fifty, sixty, or seventy.
 All these men have learnt from experience to believe what they 
already believed before they had experience, for most people learn
 nothing from experience, except confirmation of their prejudices. 
To learn anything genuinely from experience requires a kind of 
open-mindedness which is the essence of the scientific temper, though
 many men of science are somewhat lacking in it. Science, while it
 is based upon experience, enables us to anticipate experience and to
 know many things better than they can be known from the 'man-and-boy'
 type of experience.
  Source: Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1 (1975))
 More info.: https://russell-j.com/EXPERIEN.HTM


■「(ほぼ日刊)ラッセルの英語」
      n.1582〜1586 を発行しました

  以下,1つだけ再録します n.1585/3650(2019年5月23日 木曜日)
  R英語_類義語シリーズ r_ruigigo-c11: comparative / comparable
   https://russell-j.com/beginner/r_ruigigo-c11.htm

★ comparative / comparable 

   https://russell-j.com/beginner/r_ruigigo-c11.htm

 最所フミ(編著)『英語類義語活用辞典』(pp.89-90)から

【"comparative":ある標準的なものと比較して、「どちらかと言うと(比較
的)」といったニュアンスの形容詞】
【"comparable":あるものと比較して「匹敵するもの」といったニュアンスの
形容詞】

(1-1) In those days, we were living in comparative poverty.
[当時我々は,比較的貧乏な暮らしをしていた。]

(1-2) Comparatively speaking, women are better linguists than men.
[比較的,女性は男性よりも語学(能力)がすぐれている。]

(2) General office workers in America get paid for better than their 
comparable numbers in any part of the world.
[アメリカの一般事務員は,世界のどの国の一般事務員よりも給料が良い。
(their comparable numbers : 彼らに相当する職種の人たち)]


A.ラッセルの著作における用例
 
<用例1-1>
Snobbery makes successful business men send their sons to Oxford to be
turned into "gentlemen", but the result is to give them a distaste for
 business, which reduces their children again to comparative poverty 
and the need of earning a living.
[成功した実業家たちは,俗物根性(上流気取り)から,息子をオクスフォー
ド大学へ入れて,「紳士」に仕立てあげようとする。しかし,その結果は,息
子を仕事嫌いにさせ,その子供たちは再び(親に比べて)相対的に貧乏に追い
やり,(大儲けなどではなく)生きるために働かなければならなくなる。]
 出典:ラッセル『教育論』第三部_知性の教育_第18章「大学」
     https://russell-j.com/beginner/OE18-020.HTM

<用例1-2>
Authority would be comparatively harmless if it were always in the 
hands of people who wish well to those whom they control, but there is
 no known method of securing this result.]
[権威(権力)は監督下にある者たち(注:子どもたち)のために良かれと祈って
いる人々の手の中にいつもあれば比較的無害であろうが,この結果を確保する
方法はまったくわかっていない。]
 出典:ラッセル『懐疑論集』第13章「社会における自由」

<用例2-1>
The exiles had a very considerable degree of liberty, both mental and
 physical, and their lot was in no way compararble to that of people 
subjected to forced labor under the Soviet Government.]
[流刑者は精神的にも肉体的にもかなりの自由をもっており,彼らの運命はソ
ビエト政府の下で強制労働をさせられた人たちの運命とはまったく比較になら
ないものであった。]
 出典:ラッセル「オーウェルの『1984年』の徴候」
     https://russell-j.com/beginner/1070_SoO-020.HTM

<用例2-2>
Men of science nowadays do not write books comparable to Newton's 
Principia or Darwin's Origin of Species.]
[現代の科学者はニュートンの『プリンキビア』やダーウィンの『種の起源』
に匹敵する(比較できる)ような本は書きません。]
 出典:ラッセル『権力−新しい社会分析』第8章「経済的権力」
     https://russell-j.com/beginner/1057_HasA-180.HTM


B.他の参考例

<参考例1-1>
Children will find it comparitively easy to make and keep friends.
[子供は比較的容易に友達をつくり,その関係を維持するものである。]
 出典:『新版完全征服データベース5500 合格 英単語・熟語』, p.137.

<参考例1-2>
The exam was comparitively easy.
[その試験は比較的簡単だった。]
 出典:『キクタン TOEIC TEST SCORE 990』, p.275

<参考例2-1>
a soccer player comparable to Pele
[ペレに匹敵するサッカー選手。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』p.184

<参考例2-2>
Prices in Tokyo and London are now comparable; they are both expensive
 cities.
[東京とロンドンの物価は今は似たようなものだ。双方ともにお金がかかる都
市である。]
 出典:『九大英単』, p.48 


★「ラッセルの言葉(Word Press 版)v.2, n.1326〜1330

1)n.1326:R『権力−その歴史と心理』第4章 聖職者(僧侶)の権力 n.27
         https://russell-j.com/wp/?p=4603

2)n.1327: R『権力−その歴史と心理』第4章 聖職者(僧侶)の権力 n.28
      https://russell-j.com/wp/?p=4607

 しかし,理想的な目的を持っている,従って権力愛に対する言い訳を持って
いる組織にとって,崇高な徳(superior virtue)を持っているという評判は
(かえって)危険であり,その評判は,長い目で見れば,不道徳な残酷さ
(unscrupulous ruthlessness. )においてのみ卓越さを生み出すことは確実で
ある。カトリック教会はこの世の物事(俗事)に対する軽蔑を説き,そうする
ことによって君主(たち)に対する支配権を獲得した。托鉢修道士たちは清貧
の誓いを立てたが,それは世の人々に大変感銘を与え,それによって既に莫大
となっていた教会の富をさらに増加させた。聖フランシスは友愛を説くことに
よって,長くかつ残酷な戦争の勝利に導く遂行に必要な熱意を生み出した。
(注:たとえば,「日本人の生命を絶対に守る」と訴えて敵である外国の兵隊
を大量に殺害することによって戦勝するようなこと。)最終的には,ルネッサ
ンス時代のカトリック教会は,その富と権力の基礎である道徳的目的を全て失
い,宗教改革の衝撃は再生(注:原始キリスト教精神に帰るルネサンス的運動)
を生み出すのに必要であった。
 これら全ては,組織のために圧政的な権力を得る手段として崇高な徳が利用
される時には不可避なものである。
 外国に征服された場合は別として,伝統的な権力の崩壊は,常に,マキアヴ
ェリが信じていたように,崇高な徳が人間の心を支配する力が非常に堅固であ
れば,最大限の犯罪的行為によってさえ揺り動かされることはないと信じてい
る人々によって、崇高な徳が濫用された結果である(結果として起こるもので
ある)。

Chapter 4: Priestly Power, n.28

But to an organization which has ideal ends, and therefore an excuse 
for love of power, a reputation for superior virtue is dangerous, and 
is sure, in the long run, to produce a superiority only in unscrupulous
 ruthlessness. The Church preached contempt for the things of this 
world, and in doing so acquired dominion over monarchs. The Friars 
took a vow ofpoverty, which so impressed the world that it increased
 the already enormous wealth of the Church. St. Francis, by preaching
 brotherly love, generated the enthusiasm required for the victorious
 prosecution of a long and atrocious war. In the end, the Renaissance
 Church lost all the moral purpose to which it owed its wealth and 
power, and the shock of the Reformation was necessary to produce 
regeneration.

All this is inevitable whenever superior virtue is used as a means of
 winning tyrannical power for an organization.

Except when due to foreign conquest, the collapse of traditional power
 is always the result of its abuse by men who believe, as Machiavelli
 believed, that its hold on men's minds is too firm to be shaken even
 by the grossest crimes.
 出典: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER04_280.HTM

3)n.1328:R『権力−その歴史と心理』第4章 聖職者(僧侶)の権力 n.29
          https://russell-j.com/wp/?p=4611
      
4)n.1329: R『権力−その歴史と心理』第4章 聖職者(僧侶)の権力 n.30
       https://russell-j.com/wp/?p=4617

4)n.1330: R『権力−その歴史と心理』第5章 王権 n.1
      https://russell-j.com/wp/?p=4620


★「ラッセルの言葉_画像版」

 日本語 version : n.0931j-0936j を投稿
 英 語 version : n.0931e-0936e を投稿

  一つだけ再録します。n.0930j (May 19, 2019)
      https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j0930.html

 「個人対国家」

 私としては,善悪は個々人のなかに具体的に表現されるものであって,主
として社会の中に表現されるものではない,と考える。組合国家(注:ファシ
ズム体制下のイタリアで,ムッソリーニがつくった国家)を支持するために用
いることができる若干の哲学 −特にヘーゲルの哲学− は,倫理的特質を社会
そのものにありとし,国家はその市民の大部分が(肉体的及び精神的に)哀れ
であっても称賛すべきものでありとする。そのような哲学は権力の保有者の特
権を正当化するためのトリック(策略/ごまかし)であり,また,我々の「政
治」がどのようなものであろうと,非民主的な「倫理」を支持する妥当な論拠
はまったくありえない,と私は考える。

For my part, I consider that whatever is good or bad is embodied in 
individuals, not primarily in communities. Some philosophies which 
could be used to support the corporative State - notably the
 philosophy of Hegel - attribute ethical qualities to communities as
 such, so that a State may be admirable though most of its citizens 
are wretched. I think that such philosophies are tricks for justifying
 the privileges of the holders of power, and that, whatever our 
politics may be, there can be no valid argument for an undemocratic
 ethic. 
 情報源: Power, 1938.
 詳細情報:https://russell-j.com/beginner/POWER17_120.HTM

 <寸言>
 国民が全て死んでしまえば、国家はなくなる。国家があって国民があるので
はなく、人間の集団が先にあり、それらの人々が長い年月をかけて国家を形成
する。国家主義者は、国家に強い権限がなければ国民の安全や幸福は守れない
といって法律や規律で国民を縛ろうとするが、実際は、一部の支配者が権力を
振るい、便益を自分たちが優先的、独占的に享受したいために、自分たちに都
合のよい理屈を考え出す。

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(2) ラッセルに関する記述や発言等
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 今回もお休み

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 編集後記 被害者意識と加害者意識 − 戦争や交通事故など
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 同じ行為でも被害にあった場合(被害者意識)と加害した場合(加害者意識)と
では雲泥の差がある。それは人間の常であり、「人間性」だと言って無視する
(仕方のないこととする)わけにはいかない。

 被害者意識と加害者意識の違いは、戦争であろうと、交通事故であろうと、
あらゆるところに現れる。

 たとえば、第二次世界大戦では日本人は320万が亡くなった(死を無駄にして
はいけない)とさかんに言われるが、320人万以上の外国人を殺したなどとマス
コミが言っているのを聞いたことがない。第二次世界大戦では死者は5,000〜
8,000万(当時の世界人口の2.5%/そのうち民間人は3,800〜5,500万人)と言わ
れ、軍人よりも民間人の方がはるかに犠牲者が多い。そのうち中国人の戦死者
は1,000〜2,000万人。内戦での死者も多いであろうが、日本軍も大きな「貢献」
をしているであろう。(国も「死を無駄にしてはいけない」と連呼し、靖国に
議員団が参拝し続ければ、国の責任の追求をそらすことができる。)

 交通事故を例にすると、池袋で10人以上が死傷(母子二人が死亡)した事故
における飯塚幸三氏87歳(現行犯だが容疑者でもなく、呼び捨てでもない!)
の意識によく現れている。「申し訳ない」と言いながら「ブレーキを踏んだ」
「ブレーキの調子が悪かった」と自己弁護をし続け、自分が起こした交通事故
を「運が悪かった」結果だとしたい気持ちがよくあらわれている。一部では免
許の返納を考えていたと報道されてきたが、最新の情報によると、飯塚幸三氏
は「事故の直前に新車の購入を検討しており、年齢が高いので免許を返納する
というようなことは考えていなかった(らしい)」と報道されている。

 日本を代表する学者で、学問の世界や他者に対しては客観的にものを見るこ
とができる人物も、自分のことになると客観視することができず、卑怯な人間
になってしまう(ことがある)。

 被害者の遺族からみればたまったものではない。愛する人がホームレスが運
転していた車に轢き殺されたのであろうと、叙勲された「立派な」人物に轢き
殺されたのであろうと、変わらない。いや、「逃げる恐れがないから」と逮捕
もされていない状況を見るとよけいに怒りがこみあげてくるかも知れない。
「逃げる恐れがない」65歳以上の老人がこれまで多く逮捕されてきたのでは
ないか!?
 伊藤詩織さんの事件における山口氏の逮捕直前までいったのにうやむやにな
った(と言われている)事件など、警察や検察の中立が疑われる事件が散見さ
れ、権力者に近い人物は罪が軽減されるのではないかという疑惑が起こり、
法のもとにおける平等も疑われる事態が起こっている(と感じられる)。

 人間はあらゆることにおいて被害者にも加害者にもなる。できるだけ自分自
身を客観的に見る訓練を日頃しておくほうがよさそうである。(松下彰良)      
 日本語版 https://russell-j.com/smart_r366/r366g_j-today.html
 英語版  https://russell-j.com/smart_r366/r366g_e-today.html

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 ★松下彰良(訳・編)『ラッセルの言葉366』
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■編集・発行:(松下彰良/まつした・あきよし)
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