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私は、想像的な信念が常にそのようなもの(注:願望や恐怖に根付くもの)であると主張するつもりはない。その中には、特に大きな感情的な内容を持たず、信じる者にとっては「まあそうだろう」と思えるようなものもある。例えば、・・・アリストテレスは、トガリネズミの噛み傷が馬にとって危険であり、特にそのネズミが妊娠している場合には危険だと信じていた。・・・。また、相当数のイギリス人は、イギリス人が失われたイスラエルの十支族(の子孫)であると信じている。このような信念の例は無限に挙げることができるが、それらが深い感情に根ざしていない場合、通常は社会的に重要ではない。
I do not pretend that this is always the case with imaginative beliefs. Some of them have no great emotional content, but feel to the believer the sort of thing that one might expect. ... Aristotle believed that the bite of the shrew-mouse is dangerous to horses, especially if the mouse is pregnant. ... A considerable percentage of English people believe that the English are the Lost Ten Tribes. Instances of such beliefs could be multiplied indefinitely, but where they have no roots in some deep emotion, they are as a rule not socially important.
Source: Bertrand Russell: Human Society in Ethics and Politics, 1954, part II: The Conflict of Passions, chapter 4: Myth and Magic, n.4
More info.: https://russell-j.com/cool/47T-2_0404.htm
<寸言>
わざわざ引用するような部分ではないですが、次のChatGPTとのやりとりが面白かったので、採取してみました。
私:
「imaginative beliefs」を「想像的な信念」と訳していますが、信念には「想像的な」もの以外に、どういった信念がありますか? imaginative は通常、「想像力に富んだ」といった意味で使われると思われます。「想像力に富んだ信念」というのはおかしいですが、何かそんなニュアンスは含まれていないでしょうか?
ChatGPT:
鋭いご指摘ですね。「imaginative beliefs」を「想像的な信念」と訳す場合、その「想像的」という表現がどういう信念を指しているのか、具体的なニュアンスを考慮する必要があります。まず、「想像的な信念」に対比される可能性がある信念を整理したうえで、この文脈での "imaginative" のニュアンスを深掘りします。
信念の種類について:信念(beliefs)は大きく以下のように分類できます:
実証的な信念(empirical beliefs)
経験や観察に基づいた信念。たとえば、「火は熱い」という信念。
論理的な信念(logical beliefs)
推論や論理に基づく信念。たとえば、「全ての人間は死ぬ」という普遍的な真理に関する信念。
宗教的・霊的信念(religious/spiritual beliefs)
宗教や精神的な枠組みに基づいた信念。たとえば、「神が存在する」という信念。
想像的・空想的な信念(imaginative beliefs)
想像や直感、文化的背景などによる信念。たとえば、「月の満ち欠けが天気に影響を与える」という信念。
"imaginative" のニュアンスについて
"imaginative" には通常、「想像力に富んだ」や「創造的な」というポジティブな意味がありますが、この文脈では少し異なるニュアンスが含まれているようです。この文脈での "imaginative beliefs" は、以下のような特徴を持つと考えられます:
根拠の不確かさ
これらの信念は実証的根拠や論理的根拠に欠け、むしろ個人の直感や文化的な伝承、誤解、あるいは想像力に基づいて形成されている。例として挙げられている信念(例:トガリネズミの噛み傷)には、科学的根拠がない。
非現実性・奇抜さ
「ベッドに体の跡を残すのは危険」といった内容には、現代的な合理性から見ると奇抜で非現実的な性質があります。
文化的影響や感覚の自然さ
「信じる人にとっては当然のように思える」という部分から、"imaginative" には「想像力に基づいたが、その人にとってはごく自然な信念」といったニュアンスがあることが読み取れます。
翻訳の選択肢について
「想像的な信念」は直訳的ですが、日本語として少し違和感がある場合、以下のような訳が考えられます:
「空想的な信念」
非現実的で、想像の産物として形成された信念を強調。
「非合理的な信念」
実証や論理から外れた信念として、批判的なニュアンスを強調。
「想像に基づく信念」
直訳に近い形で、想像の作用をニュートラルに表現。
「発想の産物としての信念」
「想像力に富む」という創造的なニュアンスを排除しつつ、発想の一部としての性質を捉える。(長いので後はカット!)//
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#バートランド・ラッセル #Bertrand_Russell