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バートランド・ラッセル『反俗評論集-人類の将来』第1章(松下彰良・訳)

* 原著:Bertrand Russell: Unpopular Essays, 1950

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第1章「哲学と政治(1947)」n.18

 しかし、こうしたこと全ては政治といかなる関係があるのかと言う人がいるかもしれない。一見したところでは、恐らく、あまり関係はなさそうである。けれども、ヘーゲルにとってはその関係はあきらかのである。彼(ヘーゲル)の形而上学からは当然以下のような結論が出てくる。即ち、真の自由は恣意的な権威への服従にあること、自由な言論は悪であること、絶対君主制は善であること、プロシャ国家は彼が執筆していた当時存在したもっとも優れた国であること戦争は善であること、戦争の平和的解決のための国際組織は不幸である()← ヘーゲルは「戦争は善」だと言っているためです。

 (この本の)読者のなかにはどうしてこれらの結論がでてくるのかもしかするとわからない人がいるかも知れない(注:ここでの「just」は「わずかな」のニュアンス:私の読者は理解力があるであろうが・・・/「It is just possible that」はわずかな可能性を示し、「It is possible that」は一般的な可能性を示す。) それゆえ、これらの結論にいたる中間の過程について少し述べさせていただきたい。

Philosophy and Politics, (1947), n.18

But what, some one may say, has all this to do with politics? At first sight, perhaps, not very much. To Hegel, however, the connection is obvious. It follows from his metaphysic that true liberty consists in obedience to an arbitrary authority, that free speech is an evil, that absolute monarchy is good, that the Prussian State was the best existing at the time when he wrote, that war is good, and that an international organization for the peaceful settlement of disputes would be a misfortune.

It is just possible that some among my readers may not see at once how these consequences follow, so I hope I may be pardoned for saying a few words about the intermediate steps.

(掲載日:2023.08.12/更新日: )