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ラッセル英単語_語源を参考に理解_017

"for" ; "far" ; "for = 前に、先へ



清水建二(編)『英語の語源大全』pp.78-82から引用

 印欧祖語で「前に、先へ」という意味の"per"という語根ほど、一つの語源で多くの単語を作り出したものは他にありません。
 まず、「前に、先へ」のイメージから「遠い、遠くに、はるかに」という意味となった形容詞や副詞の"far"です。なぜ "per"が"far"や"fur"に変わったかというと、印欧祖語の"p"の子音はゲルマン語では"f"の子音に変化するルール(グリムの法則)があるからです。他に、"t"→"th"、"k"→"h"、"b"→"p"、"d"→"t"、"g"→ "k" などの子音変化があります。
 "far"は「前に、先に」のイメージから「行く、運ぶ」という意味を持つようになります。
* afford : af(~の方へ) + ford(前に) → (どんどん前に進めるほど)「余裕のある」
* first : 一番前にあるもの("st"は最上級を表す) → 「一番目、最初」
* forecast : 前もって投げる → 「予想する」
* foresee : 前もって見る → 「予見する」
* fare : 客を運ぶ乗り物の料金 → 「運賃」
* welfare : うまく行く → 「福祉、繁栄、幸福」
* farewell : 元気に行く → 元気に行ってください →「別れ、さようなら」
* Oxford : 牛(ox)が前に行く → 「オックソフォード(雄牛が渡る浅瀬があったことに由来)」

★ welfare【(n) 福祉、繁栄、幸福;福祉事業】

* welfare state : 福祉国家
* welfare work : 福祉事業
* live on welfare : 生活保護を受けて暮らす
* Ministry of Health, Labour and Welfare : 日本の厚生労働省

* happiness と welfare と "well-being" の違い:"happiness"は「幸福」を表す最も一般的な表現で、どちらかというと"主観的"幸福。"well-being"は「幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態(WHOの定義)」。"welfare"は「健康・生活の快適さを表す"福祉"、"福利"」で、社会全体の幸福を図るための活動や団体などに "welfare "がよく使われる。つまり、well-being は目的・目標であり、それを実現する方法・手段が welfare と言えばよいでしょうか。

1.ラッセルの用例


ラッセル英単語・熟語1500
I was, however, persuaded that applied mathematics is a worthier study than pure mathematics, because applied mathematics - so, in my Victorian optimism, I supposed - was more likely to further human welfare.
[けれども,私は、応用数学の方が純粋数学よりも価値のある研究であると(当時)信じていた。なぜなら,応用数学の方が --私はヴィクトリア王朝時代の楽観主義でそう考えていたのだが-- 人間の福祉(幸福)をより増進しそうだからであった。]
 出典:ラッセル『私の哲学の発展』第4章「観念論への脇道

This is the essential difference between the liberal outlook and that of the totalitarian State, that the former regards the welfare of the State as residing ultimately in the welfare of the individual, while the latter regards the State as the end and individuals merely as indispensable ingredients, whose welfare must be subordinated to a mystical totality which is a cloak for the interest of the rulers. .
[これは自由主義的なものの見方と全体主義的なものの見方との間にある本質的な相違であり,前者(自由主義の世界観)は国家の福祉は究極的には個人の福祉(幸福)にあると見なす一方,後者(全体主義の世界観)は国家を目的と見なすとともに個人を単に欠くべからざる国家の成分と見なし,個人の福祉(幸福)は神秘主義的な全体(性) -それは支配者たちの利益を覆いかくすものであるが- に従属しなければならないと考える。]
 出典:ラッセル『権力』第11章「熱意

From the above brief survey it seems to result that, in the main, the effects of organizations, apart from those resulting from governmental self-preservation, are such as to increase individual happiness and well-being.
[以上の手短な概観から,概して(大部分については),組織(体)の影響は,政府の自己保存(本能)から生ずる結果は別として,個人の幸福と福祉(健康で安心で満足できる生活状態)を増進させるようなものである,という結果に終わるように思われる]
 出典:ラッセル『権力』第13章 「組織と個人

For women as for men zest is the secret of happiness and well-being.
[男性にとっても,また女性にとっても,熱意こそは幸福と健康の秘訣である。]
* 岩波文庫の安藤訳ではここの"well-being"を「健康」と訳しています。DeepL に約扨せると「「元気」は幸せと幸福の秘訣です」、Google 翻訳では「熱意は幸福と幸福の秘訣」と自動翻訳し、両方とも役に立ちません。「安寧」とでも訳せばよいでしょうか?
 出典:ラッセル『幸福論』第13章 「組織と個人

2.参考例

Many people are concerned about the welfare of their country.
[多くの人々が自国の福祉を心配している(気にかけている/関心を持っている)。]
 出典:『キクタン TOEIC TEST SCORE 800』, p.135.

Sweden is famous for its social welfare system.
[スウェーデンは社会福祉制度で有名だ。]
 出典:『鉄緑会 東大英単語熟語 鉄壁』, p.352

The company's welfare officer deals with employees' personal problems.
 出典:Longman Dictionary of Contemporary English, new ed.

The welfare of a person or group is their health, comfort, and happiness.
 出典:Collins COBUILD English Dictionary for Advanced Learners, new ed.