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バートランド・ラッセル『権力』(松下彰良・対訳)

* 原著:Power; a new social analysis, by Bertrand Russell (London; George Allen & Unwin, 1938)

総目次

第9章 世論に対する影響力 イントロ累積版

  1. 世論(の力)は万能であってそれ以外の権力形態は全て世論から出てくる,という見解に対する賛成論を述べることは容易である

  2. かくして,我々は一種の一進一退(追いつ追われつのゲーム)の状態にある。

  3. けれども,いかなる段階においても,強制力の助けを借りずに,世論(opinion)に影響を及ぼす重要な例がいくつか存在している。

  4. 今日,人間に関する諸問題における一つの(強い)力としての理性をけなすことが慣例となっているが,それにもかかわらず,(理性の象徴である)科学の勃興はそれとは反対側の論拠となる圧倒的な力を有している

  5. このような例から,理性一般の力について,何らかのことを学ぶことができそうである。

  6. 人間に関わる問題における理性の力(理性がどれだけの力をもっているか)については,これくらいにしておこう。

  7. 合理的な訴えと不合理な訴えとの間の対立は,実際には,右の(上記の)分析ほどはっきりしたものではない。

  8. 権力の保持者が(人々の)信念に影響を与える能力を獲得するのは繰返しのもつ効果(繰り返し言うことによる効果/効能)を通してである。
  9. 私は宣伝は(人々の)欲求に訴えかけなければならないと述べたが,このことは,国家宣伝が国民感情と対立した場合に失敗することによって,多分,確証されるであろう。
  10. 大規模な組織的宣伝(の主体)は,現在のところ,民主主義諸国においては,教会,ビジネス広告業者,政党,財閥(the plutocracy),及び国家とに類別される。

  11. 官製宣伝(公的な宣伝)の力を過大評価することは -特に(官製宣伝に対する)競争(相手)がまったくない場合は- 容易である。

  12. 宣伝の問題における組織化と統合化の効果(影響)は,他の問題においてと同様,革命を遅らせることであり,革命が起こればその革命を一そう烈しいものにすることである。
第10章 権力の源泉としての信条