(本館) (トップ) (分館)
バートランド・ラッセルのポータルサイト用の日本語看板画像

バートランド・ラッセル 権力 第6章 06-32 (松下 訳)- Power, 1938, by Bertrand Russell

Back(前ページ) Next(次ページ) 第6章_イントロ索引 Contents(総目次)

第6章 むきだしの権力 n.32 - 権力の暴走に対する歯止め

 政府の権力であれ,無政府主義的で冒険的な権力であれ,権力は存在しなければならない(必要である)。むきだしの権力さえ,政府に対する反逆者(rebels)が存在する限り,あるいは,通常の(並の)犯罪者(criminals)でさえ存在する限り,むきだしの権力は存在しなければならない(存在しなければならない)。しかし,もし人生が,人類の大多数にとって,(時々)激しい恐怖の瞬間で中断される退屈なみじめなものである以上のもの(ましなもの)であるべきだとすれば,むきだしの権力は可能な限り少なくなければならない。権力の行使は,それがもし理由なき拷問を課することより以上のものであるべきだとするならば,法や慣習という安全装置によって(権力の行使)を取り囲み,然るべき熟慮を経て初めて許されるものとし,権力にさらされる人々の利益になるように,しっかりと監視されている人々(権力者)に委託されなければならない(訳注:その限りで権力を委ねることができる)。

Chapter VI: Naked Power, n.32

There must be power, either that of governments, or that of anarchic adventurers. There must even be naked power, so long as there are rebels against governments, or even ordinary criminals. But if human life is to be, for the mass of mankind, anything better than a dull misery punctuated with moments of sharp horror, there must be as little naked power as possible. The exercise of power, if it is to be something better than the infliction of wanton torture, must be hedged round by safeguards of law and custom, permitted only after due deliberation, and entrusted to men who are closely supervised in the interests of those who are subjected to them.
(掲載日:2017.08.03/更新日: )