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Power, 1938

ラッセル『権力−新しい社会分析』(松下彰良・訳)

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第4章 聖職者(僧侶)の権力 n.4

(古代)ギリシアと(古代)ローマは,聖職者(僧侶)の権力からほとんど干渉を受けなかったという理由で,古代において,特有(独特の存在)であった。(古代)ギリシアでは,当時存在していた宗教的な権力は,主として神託所 −特にデルファイ(「デルポイ」の神託所)ー に集中しており,そこでは,女性の神官(Pychoness 巫女)が一種の恍惚状態(fall into a trance )に陥って,アポロ(神)によって吹き込まれたお告げを伝えるのだと想われていた。けれども、神託は金で買える(賄賂で買収できる)ということはヘロドトスの時代にはよく知られていた。ヘロドトスとアリストテレスの両者は,アルクメオン家の人々(the Alcmaeonidae)−ペイシストラトス(Peisistratos 紀元前527年に死亡)によって追放された(古代)アテネの重要な家族− は,ペイシストラテスの息子たちに対抗して,賄賂を使って,デルファイの支持を獲得した(注:僭主ペイシストラトスによってアテナイら追放されたアルクメオン家は,紀元前510年,ペイシストラトスの子でアテナイの僭主ヒッピアス打倒のための助力をスパルタに要請したが,その時に,アルクメオン家は,デルファイの巫女(女性の神官)を買収し,巫女(女性の神官)にアルクメオン家を助けるべしとの神託をさせている。),と語っている。ヘロドトスの述べていることは,好奇心をそそるものである。アルクメオン家の人々について,ヘロドトスは次のように語る。
アルクメオン家の人々は ーもしアテネ人の言うことを信じてもよければー 賄賂を使って巫子(女性の神官)を説得し,スパルタ人たちに対して,彼ら(スパルタ人たち)が神託を聞きに来た時には常に,相談内容が私的な問題でも国家の問題でも,お前たち(スパルタの人たち)は必ず(ペイシストラトス家による暴政から)アテネを救わなければならないと言わせた(のである)。そうして,古代スパルタ人たち(Lasedaemonians)は,いつもその答えしか返ってこなかったので,アステール(Aster)の息子のアンキモリウス(Anchimolius)− スパルタ人の間では有名な人間− を彼がペイシストラトス家の人々と親交のきずなに堅く結ばれているにもかかわらず,アテネ討伐軍の長として,ペイシストラトス討伐のために送ったのである。というのは,スパルタ人たちは,人間のことよりも天のことのほうがもっと尊重していたからである。」(原注:ローリンソン(訳),ヘロドトス『歴史(書)』第5巻,第63章)
 アンキモリウスは敗れたけれども,その後の大規模な遠征隊は(討伐に)成功し,スパルタ人たちや他の流刑者たちは権力をとりもどしし,アテネ人は彼らがいう「自由」を再び享受したのである。

Chapter IV: Priestly Power, n.4

Greece and Rome were peculiar in antiquity owing to their almost complete freedom from priestly power. In Greece, such religious power as existed was chiefly concentrated in the oracles, especially Delphi, where the Pythoness was supposed to fall into a trance and give answers inspired by Apollo. It was, however, well known by the time of Herodotus that the oracle could be bribed. Both Herodotus and Aristotle relate that the Alcmaeonidae, an important Athenian family exiled by Peisistratus (died 527 B.C.) , corruptly procured the support of Delphi against his sons. What Herodotus says is curious: the Alcmaeonidae, he tells us,
"if we may believe the Athenians, persuaded the Pythoness by a bribe to tell the Spartans, whenever any of them came to consult the oracle, either on their own private affairs or on the business of the State, that they must free Athens (from the tyranny of the Peisistratidae). So the Lasedaemonians, when they found no answer ever returned to them but this, sent at last Anchimolius, the son of Aster--a man of note among their citizens--at the head of an army against Athens, with orders to drive out the Peisistratidae, albeit they were bound to them by the closest ties of friendship. For they esteemed the things of heaven more highly than the things of men."(note: Bk. V, Ch. 63. Rawlinson's translation.)
Though Anchimolius was defeated, a subsequent larger expedition was successful, the Alcmaeonidae and the other exiles recovered power, and Athens again enjoyed what was called "freedom."

(掲載日:2017.05.11/更新日: )