バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )
  
   自由な言論は,自由な討議がよりよい意見の勝利へと導くという根拠でかつては擁護されていた。この信念は,恐怖心の影響のもと,失われつつある。その結果は,真理は一つの真理であり,「官製の真理」はもうひとつの真理であるということになる。これはオーウェルの「表裏のある話し方(double‐talk)」や「二重思考(Double-think)」(注:「相反し合う二つの意見を同時に持ち,それが矛盾し合うのを承知しながら双方ともに信奉すること」で「安倍思考」とも言うべきか?)への第一歩である。自由な言論の法的な実存は保持されてきている(言論の自由が法的に保証されている)と言われるだろうが,もし仮に一層重要な公表の手段が正統として是認されている意見にのみ開かれるとするならば,自由な言論の効果的な実存は悲惨なほど切り詰められる(ことになる)。

Free speech used to be advocated on the ground that free discussion would lead to the victory of the better opinion. This belief is being lost under the influence of fear. The result is that truth is one thing and "official truth" is another. This is the first step on the road to Orwell's "double-talk" and "double-think". It will be said that the legal existence of free speech has been preserved, but its effective existence is disastrously curtailed if the more important means of publicity are only open to opinions which have the sanction of orthodoxy.
 出典: Bertrand Russell: Symptoms of Orwell's 1984,(1954)..
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/1070_SoO-080.HTM

 <寸言>
 このような事態は共産主義国だけのことであり,自由主義国には「言論の自由」があるから大丈夫というのが政権を握る政党政治家の常套句であった。しかし,世界中の多くの人々がそのようなことを信じなくなってきている。  しかしそれは気がつくのが遅すぎた。我々凡人(普通の一般市民)は,短期的なことしか考えない場合が多いので,そのうち良くなるだろうとか,そこまで為政者は悪いことはしないだろう,と甘く考えがちである。  ヒトラーが(民主主義の手続きによって)政権を奪取し戦争に突入していった事態など,民主主義が広く行き渡った現代世界には起こらないだろう(ただし共産主義に対しては常に彼らに上回る武力を持っている必要があるがそうしておけば民主主義国家は必ず勝利する)といった油断があったのではないか?   戦争は常にこぜりあいから発展して起こってしまう。北朝鮮,ISISへの対応の食い違い,世界的な格差の解消に努めないことから,紛争が起こり,それが大きな衝突となり,戦争までに発展していってしまう。集団的自衛権が国会で承認された日本にあっては,望まない戦争にいつのまにか関与することになってしまうという実際的な危険が存在している。特定秘密保護法の制定,報道規制,安保法案(集団安全保障)の国会承認,憲法への緊急事態条項の追加,自衛隊の海外派遣の拡大,日米共同軍事行動に対する報復としての国内でのテロの発生・・・。それよりも,東京大地震や南海トラフ大地震の方がより大きな打撃を日本にもたらすか!?