真理と事実とを混同する(区別しない)のは,危険な誤りである。私たちの人生は,事実によって支配されるだけではなく,希望によっても支配されている。(即ち)事実のほかは何も見ないような正直さは,人間の精神にとって牢獄である。夢が非難に値するのは,現実を変えようとする努力の怠惰な代用品となっている場合のみである。
It is a dangerous error to confound truth with matter-of-fact. Our life is governed not only by facts, but by hopes ; the kind of truthfulness which sees nothing but facts is a prison for the human spirit. Dreams are only to be condemned when they are a lazy substitute for an effort to change reality,
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2: Education of character, chap. 5: Play and fancy
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE05-060.HTM
<寸言>
大人にあっては,夢も大事であるがそれ以上に事実認識が大事なことが少なくない。事実に目をそらした判断や行動はとても危険である。
しかし、事実をあまり知らない、また理解力がまだ乏しい子どもにあっては、事実を知ることと同様に空想によって夢をふくらませることは同様に重要である。即ち、大人の感覚のみで、「幼年期の空想を殺す」ことは子どもを現実への奴隷とし、想像力の乏しい人間(大人)をつくりかねない,とのラッセルの指摘。