バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 子供はまねごとと現実との区別がつかないとよく言われるが,そのように信ずべき理由はほとんど見いだせない。私たちはハムレットがかつて実在したとは信じていない。しかし,ハムレットの芝居を見て楽しんでいるときにそのこと(ハムレットは実在しなかったこと)を絶えず思い出させる人がいたら,きっと腹を立てるだろう。子供たちも,へたに現実を思い出させる人には腹を立てる。しかし,子どもは,自分の作りごとに少しもだまされているわけではないのである。

It is commonly said that children do not distinguish between pretence and reality, but I see very little reason to believe this. We do not believe that Hamlet ever existed, but we should be annoyed by a man who kept reminding us of this while we were enjoying the play. So children are annoyed by a tactless reminder of reality, but are not in the least taken in by their own make-believe.
 出典: On Education, especially in early childhood, 1926, Pt. 2: Education of character, chap. 5: Play and fancy
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE05-040.HTM

 <寸言>
 子どもも少しでも早く大人と同じことをできるようになりたいので、学びたいという意欲は旺盛であるが,できるだけ面白い(遊びの要素がある)ものであってほしいと思う。これに対し大人(親や教師)は子どもが大きくなるにつれて、遊びの要素を少なくしてできるだけ世間に出た時に役に立つようなことをたくさん学んで身につけてほしいと希望するようになる。そうして、退行的に見える「まねごと」をいつまでもやっていたり,実用的でない知識ばかり得ようとしていると、我が子の心(精神)の発達が他の子どもよりも遅いのではないかと心配する親も出てくる。