動物,機械,雷雨,及び,あらゆる種類の手細工が子供の好奇心をかき立てる。子供の旺盛な知識欲(知識に対する渇望)は,最も知的なおとなもしのぐ。この衝動は,年をとるにつれて弱くなり,ついには,おなじみでないものは嫌悪感を抱かせるだけで,もっとよく知りたいという欲望はまったく抱かなくなる。人々が,この国は没落しつつある(going to the dogs)とか,「いろんなことが,自分の若い頃とは違ってしまっている」などと言い出すのは,この段階である。
Animals, machines, thunderstorms, and all forms of manual work, arouse the curiosity of children, whose thirst for knowledge puts the most intelligent adults to shame. This impulse grows weaker with advancing years, until at last what is unfamiliar inspires only disgust, with no desire for a closer acquaintance. This is the stage at which people announce that the country is going to the dogs, and that 'things are not what they were in my young days'.
出典: On Education, especially in early childhood, 1926, chap. 2 The Aims of Education
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/OE02-190.HTM
<寸言>
子供の好奇心は旺盛である。大人になると疲れてくるので,しだいに新鮮な好奇心を抱けなくなる。したがって,年をとってもいろいろなものに好奇心をもっていることは希少価値があるということで,「子供のような(素直な)心を持っている」と褒める。しかし何も知らない子供がいろいろなものに好奇心を持つのは,早く大人になって自立しなければならない動物にとって共通の,欠くべからざる天与の性質である。それに好奇心の質は必ずしも高いとはいえない。その点,大人は,好奇心が持てる対象(量)は減るだろうが,「質」は高めることは'可能'である。'可能'なだけだが・・・。