バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 現在では、世界を統一して戦争を全く廃棄してしまうことが、技術的に言って可能だろう。貧困を一掃してしまうことも、技術的に可能だろう。これらのことは、人間が敵の悲惨よりも自分自身の幸福を望むときに実現されるであろう。過去においては、人間の福祉に対する物理的障害があった。現在では、障害は人間の魂の中にのみある。憎悪、愚行、間違った信念のみが、われわれと至福千年期とを隔てている。

It would now be technically possible to unify the world and abolish war altogether. It would also be technically possible to abolish poverty completely. These things would be done if men desired their own happiness more than the misery of their enemies. There were, in the past, physical obstacles to human well-being. The only obstacles now are in the soul of men. Hatred, folly and mistaken beliefs alone stand between us and the millennium.
 出典: Bertrand Russell: Portraits from Memory and Other Essays, 1956, chap. 4: From Logic to Politics, p.39.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/SHODA-02.HTM

 <寸言>
 これは夢物語だと簡単に却下してはならない。ここでは,現実的に可能だと言っているのではなく,技術的に可能だと言っている。実際は,人間は多くの人が幸せになることよりも,自分の嫌いな人間や国家に対しては不幸が襲いかかることを望む人が少なくない。
 悲惨な経験を多くの人間がしない限り,経済に限定したとしてもなかなか前進しないのが現実である。
 しかし,技術的には全人類が経済的には豊かに暮らすことが可能となっていることだけは多くの人が理解する必要がある。それを認めた上で、国家間の敵対感情や敵対行為を徐々に減らしていく必要がある。