バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 (1918年11月11日)午前11時に休戦が報道された。その時私はトッテンナム・コート通りにいた。二分たつかたたないうちにあらゆる商店や事務所の人たちが一人残らず街頭に出てきた。・・・互いに全然見ず知らずの男女が,道路の真ん中ですれちがいざまキスしあっている風景も見られた。・・・群集は依然としてうわっついていた。以前にもましてがむしゃらに快楽にとびつくだけで,恐怖の期間に何一つとして学びとってはいなかった。私は奇妙にも,そうした歓喜の中にあって,どこか他の惑星から何かのはずみで落ちてきた幽霊ででもあるかのような孤独感に襲われるのだった。私も喜んだことは事実である。しかし,私の喜びと群集の喜びとの間には何ら共通なものを発見することはできなかった。

At eleven o'clock, when the Armistice was announced, I was in Tottenham Court Road. Within two minutes everybody in all the shops and offices had come into the street. ... I saw a man and woman, complete strangers to each other, meet in the middle of the road and kiss as they passed. ... The crowd was frivolous still, and had learned nothing during the period of horror, except to snatch at pleasure more recklessly than before. I felt strangely solitary amid the rejoicings, like a ghost dropped by accident from some other planet.
 出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 2: Russia
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB22-010.HTM

 <寸言>
戦争の原因(誤った政策だけでなく人間性の真実)をしっかりと理解しないと再び戦争は起こりうる,ということ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」の諺通り,しばらくして戦争の冷酷さを忘れ,再び戦争へと世界は突き進んでいった。