第一次世界大戦が終わった時,自分がそれまでやってきたことは,自分自身に対して以外,まったく何の役にもたたなかったことがわかった。私はたった一人の人間の生命を救うことさえも,また戦争を一分たりとも短縮することもできなかった。ヴェルサイユ条約をもたらす原因となった敵意(bitterness)を減らすためにいかなることもなすことに成功しなかった。しかし,ともかくも私は,すべての交戦国が犯した罪の共犯者ではなかったし,また,自分のためには,新しい人生観(philosophy)と新しい青春を得た。私は大学教師であることと厳格な人間(ピューリタン)であることから解放された。
When the War was over, I saw that all I had done had been totally useless except to myself. I had not saved a single life or shortened the War by a minute. I had not succeeded in doing anything to diminish the bitterness which caused the Treaty of Versailles. But at any late I had not been an accomplice in the crime of all the belligerent nations, and for myself I had acquired a new philosophy and a new youth.
出典: The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 1:The First War, 1968]
詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB21-350.HTM
<寸言>
第一次世界大戦に勝利した連合国は,支払い不可能な賠償金をドイツに課した。当初期待された国際連盟も,アメリカは国内の反対が強く加盟せず,弱体であり,ラッセルは第一次世界大戦よりも残酷な世界大戦が起こるだろうと予測した。 因みに、ラッセルは1921年に訪日した時に,土田杏村にいずれ日本とアメリカは戦うことになるだろう(そして日本は敗ける),と暗い見通しを述べている。) http://russell-j.com/beginner/ochibohiroi.htm#r2009-97
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