もし,我々が事実について何も知りえないとしたならば,我々は他人の言うことを知りえないはずであるし,また,自分自身が何を言っているかも知ることができないはずである。言語は,後天的に獲得された他の行動様式と同様,有用な習慣から成り立っており,しばしばそれに取り囲まれている神秘性をまったく持っていない(のである)。言語に関する迷信的な見解には何の新しい点もない。それは有史以前の時代から我々に伝えられてきたものである。
If we can know nothing about facts we cannot know what other people say or even what we are saying ourselves. Language, like other acquired ways of behaving, consists of useful habits and has none of the mystery with which it is often surrounded. There is nothing new in the superstitious view of language, which has come down to us from pre-historic ages.
出典: My Philosophical Development, 1959,chap..13: Language.
詳細情報:http://russell-j.com/cool/54T-1301.HTM
<寸言>
この文章の少し前にかかれていることは教訓となる。
「哲学者や読書人(読書家)は一般的に,言葉によって支配される生活を送る傾向があり,また,一般的に,非言語的であるところの事実と何らかの関係を有することは,言葉の本質的な機能である,ということを忘れる傾向さえある。」
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