バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 「空集合」に関して,また一般的にいって「無」の概念に関して,非常に大きな困難がある。「無」のような概念が存在すること,また,ある意味で「無」は何かあるものであることは,明白である。事実,「無は無(存在しないもの)ではない」という命題は,疑いもなく,それを真とする解釈が可能であり,その解釈はプラトンの『ソフィスト』で議論された矛盾を(が)生ずる。

Great difficulties are associated with the null-class, and generally with the idea of nothing. It is plain that there is such a concept as nothing, and that in some sense nothing is something. In fact, the proposition nothing is not nothing is undoubtedly capable of an interpretation which makes it true--a point which gives rise to the contradictions discussed in Plato's Sophist.
 出典:The Principles of Mathematics, 1903, Chap. VI. Classes: §73
 詳細情報:http://fair-use.org/bertrand-russell/the-principles-of-mathematics/s73

 <寸言>
  集合論において「空集合」(要素をひとつも含まない集合)を認める(仮定する)ことによって、数の定義が容易になる。即ち、「ゼロ」というのは、「空集合」であり、「ゼロ」の後者を「1」(要素をひとつだけ含む集合の集合)とすれば、「2」は(要素を2つ含む集合の集合)として定義できる。即ち「n」は(要素をn個含む集合の集合)ということになり、全ての自然数を定義できる。