何らかの価値ある仕事を成し遂げる大人は、子供の頃ほとんど協力的ではない。一般的に言って、彼らは孤独を愛し、本を抱えて教室の片隅にこっそり移動し、野蛮な仲間(同時代人)の目を逃れることができた時が一番幸せな時であった。芸術家、作家、科学者として傑出した人たちのほとんどは、子供の頃、仲間の嘲笑と軽蔑の的であり、教師にとっては生徒が風変わりでは扱いにくかったので、残念ながらしばしば、教師も生徒集団(群衆)の味方をする場合が多かった。
Adults who achieve anything of value have seldom been 'co-operative' children. As a rule, they have liked solitude: they have tried to slink into a corner with a book and have been happiest when they could escape the notice of their barbarian contemporaries. Almost all men who have been distinguished as artists, writers or men of science have in boyhood been objects of derision and contempt to their schoolfellows; and only too often the teachers have sided with the herd, because it annoyed them that a boy should be odd.
出典:'Of co-operation' in: Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1.
詳細情報:http://russell-j.com/KYORYOKU.HTM
<寸言>
力がある者はたたいてもいずれ台頭してきて成功するから厳しくしてもよいのだ と思う人が少なくないかもしれない。しかし,ラッセルが「天才について」で言っている次の言葉をよく味わったほうがよいであろう。
「天才はつねに自分の道を切り開く'という,耳に心地よい説があるが,この説に力を得て,若い才能を迫害してもそれほど害にならないと,多くの人が考えている。・・・。
私たちが見聞している天才は,すべて逆境にうち勝っているが,若くして挫折した天才は,(過去)非常に多数は存在しなかった,と想定すべき理由はまったくない。」
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