バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

 
 今日では、民主主義の影響の下、協力の美徳が'服従の美徳'が以前確保していた場所を代わりに占めている。昔流儀の男性教師ならば、少年に対し'あなたは反抗的だ(素直でない)'と言うだろうが、現代女性教師(注:1930年当時)なら、幼い生徒に対し'あなたは非協力的だ'と言うだろう。両者は同じことを意味している。

In these days, under the influence of democracy, the virtue of co-operation has taken the place formerly held by obedience. The old-fashioned schoolmaster would say of a boy that he was disobedient; the modern schoolmistress says of an infant that he is non-co-operative. It means the same thing.
 出典:'Of co-operation' in: Mortals and Others; Bertrand Russell's American Essays, 1931-1935, v.1.
 詳細情報:http://russell-j.com/KYORYOKU.HTM

 <寸言>
  民主主義の名を借りた横暴。多数決で決めてよいことと,よくないことがある。  全体の4/5が賛成すれば1/5を搾取する体制をつくってよいということにはならない。麻生元首相が(ヒトラーのやり口をまねるとよいと)いみじくも言ったようにヒトラーが政権をとったのも,多数決という民主主義的な手続きをとったものであり,国民(が選んだ代議士)が選んだものである。今の日本の国会も同様の状況にある。  多数決の原理は,あくまでも少数意見を尊重することにある。ポーズだけ,意見を聞いたことにして,多数の原理でどんどん決めていけば,いずれ国民も後悔する時がくるであろう。
 教育においても,同じこと。生徒がユニークな意見を持つことは奨励されるべきことであるが,「協力の美徳」が強調されすぎるきらいがある。できるだけ効率的に,「国民として」必要な知識や技術を詰め込もうとしようとすれば・・・。