バートランド・ラッセルの名言・警句( Bertrand Russell Quotes )

私は,時々批評家から,私は真実の歴史を書かず,書こうと恣意的に選んだ出来事に偏った説明を加えている,といって非難された。しかし私の考えでは,何らの先入観をもっていない人間は −もしかりにほんとうにそのような人間が存在するとして− 興味深い歴史など書くことができないだろう。私は,先入観がないふりすることは,単なる'ごまかし'にすぎないと考える。さらにいえば,本というものは,他のいかなる著作同様,そのよって立つ観点とともに,考えられるべきものである。  
I was sometimes accused by reviewers of writing not a true history but a biased account of the events that I arbitrarily chose to write of. But to my mind, a man without a bias cannot write interesting history if, indeed, such a man exists. I regard it as mere humbug to pretend to lack of bias. Moreover, a book, like any other work, should be held together by its point of view.
 出典:The Autobiography of Bertrand Russell, v.2 chap. 6: America, 1968.
 詳細情報:http://russell-j.com/beginner/AB26-080.HTM

 <寸言>
 この『西洋哲学史』は、ラッセルがその自由思想から魔女狩りにあい、決まっていたニューヨーク市立大学の教授職も(某キリスト教徒による「不道徳者に娘の教育はまかせられない」という告訴により、裁判にまけ)失い、経済的に困窮している時に、バーンズ博士(バーンズ美術館で著名)から救いの手が差し伸べられ、バーンズ財団に一般公開講座で話すためにまとめられた著作である。従って、誰にでもわかる言葉遣いで、聴衆をひきつけるような冗談がところどころに入れられている。