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バートランド・ラッセル『権力』(松下彰良・対訳)

* 原著:Power; a new social analysis, by Bertrand Russell (London; George Allen & Unwin, 1938)

総目次

第15章 権力と道徳律 イントロ累積版

  1. 道徳には,ともかくも,ヘブライの予言者時代以来,二つの異なる側面があった。

  2. 実際的道徳のこの側面は重要ではあるが,(本章で)私が扱いたいと考えているもの(側面)ではない。

  3. まず(親に対する)孝行から(検討を)始めよう。

  4. これと同じようなことが女性の服従に関して起こっている

  5. 男性のための道徳(男性用の道徳)と女性のための道徳(女性用の道徳)との違い(差異)の基礎となっているものは,男性の(女性に対する)腕力の優越性であることは明らかである

  6. 王(国王)は,ジョージ一世に至るまで,宗教的な崇拝の対象であった。

  7. これ(バジョットの述べていること)は,真理でありかつ重要である。

  8. 権の場合は,我々がすでに見てきたように,その宗教的要素は,しばしば権力に干渉しさえするほど,保持されてきた。

  9. 聖職者(priests 僧侶)の権力が他のいかなる形態の権力よりも道徳とつながりをもっていいたことは,明らかである。

  10. 教会の場合,権力と道徳との関係は,ある程度まで,我々がこれまで考察してき場合(cases いろいろな事例)(においてそうであること)と反対の関係である。

  11. 個人道徳(個人的な道徳)は,一般的に言って,(それが)聖職者の公式の道徳よりも厳しくない場合でさえも,公式の聖職者の道徳よりも悪いと想定してはならない。

  12. 道徳律(道徳規範)は権力の表現(注:権力の意向や意志が反映されたもの)であるというテーゼ(thesis 論題,命題)は,すでに見てきたように,全面的に正しいというわけではない。

  13. 敵に対する道徳律(道徳規範)は、時代の違いにより非常に異なっていた問題であるが,その(道徳律が異なっていた)理由は主として時代によって利益生むことができる権力の使用(法)が異なっていたからである(注:権力をどのようにふるえば利益を得られるかは時代によってかなり異なっていた)。

  14. これらの(上記の)章節の中に述べられているのは,ユダヤ人の利益と異邦人の利益が衝突する場合には,彼ら(ユダヤ人)の利益が完全に勝るべき(優先すべき)べきであったこと,しかし,ユダヤ人の内部においては,宗教の利益,即ち聖職者(僧侶)の利益は一般信徒(俗人)の経済的な利益に対して勝るべき(優先すべき)であったことは,明らかである。

  15. 敵に対する義務というのは難しい概念である。

  16. 私は,本章において,ここまで,実際的道徳について関心を持ってきたが(実際的道徳について述べてきたが),既に明らかなように,実際的道徳は不十分なものである。

  17. (このように考えると)検討すべき問い(問題)が二つある。

  18. 歴史的な起源を有する宗教に執着する,あるいはそういった宗教はそれ以前にあったものが改善されたものだと考える,いかなる思慮深い人々によっても受け入れられなければならない最小限(最低限)のことは,次のようなことである。

  19. 我々は次の問いに面と向わなくてはならない。

  20. 功利主義者に言及したことによって示唆されるある問題について考察してみよう。

  21. 功利主義者に言及したことによって示唆されるある問題について考察してみよう。

  22. にもかかわらず,個人的に言うと,私が嫌悪感を感じる(覚える)種類の行為で,その嫌悪感が私にとっては道徳的なものではあるように思われるけれどもはっきりと結果の評価に基礎を置いているとは思われないような種類の行為が存在していることを,私は経験を通して知っている。

  23. 人生の目的に関する様々な見方を考察してみよう。

  24. 私は以前(『宗教と科学』という著書の中で)、本質的価値についての判断の解釈は,一つの主張としてではなく,人類の諸欲求に関する一つの欲求の表現として解釈すべきだということを提案した

  25. 仏陀やストア派の哲学者たちから最近に至るまで,全ての偉大なモラリストは,善を,可能であるならば,全ての人によって等しく享受されるべきものとして扱った。

  26. 倫理上の論争は,しばしば手段に関するものであり、目的に関するものではない(ことが多い)。

  27. 政治上の争い(競争)においてそうであるように,権力は,倫理上の争い(競争)における手段である。

  28. 本章の冒頭で考察した伝統的な道徳規範,即ち,親孝行とか,妻の(夫に対する)隷属とか,王に対する忠誠とかいったものは,(既に)全て完全に,あるいは,部分的に衰退してしまっている。

  29. 我々は今や,社会生活における反乱(rebellion 謀反)の役割(place 場所;地位;位置)に関して,何らかの結論に達することができる(できそうである)。
第16章 種々の権力哲学