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ラッセル『結婚論』第15章「家族と国家」(松下彰良・訳)

Marriage and Morals, by Bertrand Russell
(London; Allen & Unwin, 1929)


総目次

第15章 家族と国家 イントロ累積版

  1. 家族は,生物学的起源をもっているけれども,文明社会においては,法律の制定による所産である。
  2. 国家が父親に取って代わるこのプロセスに対し,明確な制限(限界)を設けることはできない。
  3. 現在,あらゆる国において,賃金労働者階級では父親の権力と役割・機能に対して国家の干渉が絶えず増大しつつあるのに,その他の階級では(ロシアは別として)それに対応する干渉が見られない,という傾向がある。
  4. ソビエト・ロシアでは,もっと根本的な(徹底的)な家族の変容(変質)が構想されてきたが,人口の80%を農民が占めており,農民の間では,家族は,いまだ,中世の西ヨーロッパで見られたように強力であることを考えると,共産主義者の理論は,比較的狭い都市部にしか影響を及ぼしそうにない
  5. 父親を排除する方向に働いている強い力が,もう一つある。
  6. そういった法律が可決されたと仮定した場合,家族(というもの)が道徳に及ぼす影響は,当の法律がどのように起草されているか(どのようなことがどのように規定されているか)にかかっている。
  7. けれども,今日では,しばしば個々の女性の側に,ひどく家庭を怖がる気持ち(注:自宅にのみ居続けることをひどく嫌う気持ち)があるので,大部分の女性は,我が子の世話をして(国などから)金をもらうよりも,結婚前にしていた仕事を続けることができるほうを,よほど好むのではないかと思われる。
  8. 男性支配に対する女性の反乱は,純粋に政治的な意味では,ほとんど(practically)完遂された運動であるが,より広い面から見れば,いまだ始まったばかりのもの(幼児期にある運動)である。
  9. 国家が父親の肩代わりをすること(国家による父親の肩代わり)は,これまでに西欧で行われててきたかぎりでは,大体において,大きな進歩である。
  10. 一方(これに対し),国際政府が確立されて,国家間の紛争が力(武力)ではなく法律で解決できるようになれば,状況は一変するだろう。
第15章 家族と国家